尻屋埼灯台(東通村)国重要文化財指定へ

重要文化財に指定するよう答申された尻屋埼灯台=東通村

 国の文化審議会は12日、青森県東通村の尻屋埼灯台を国の重要文化財(建造物)に指定するよう、永岡桂子文部科学相に答申した。近く指定される。灯台は1876(明治9)年建築で海上保安庁が所有。日本一の高さを誇る煉瓦造(れんがぞう)の現役灯台で、建築技術的に優れ、歴史的価値が高いと評価された。

 尻屋埼灯台は下北半島の北東端、東通村の尻屋崎に立ち、北は津軽海峡、東は太平洋を望む。下北半島国定公園の中にあり、東通村内外から観光客が多く訪れる有数の景勝地。太平洋側に建設された初期の煉瓦造灯台の一つで、東北地方初の洋式灯台。壁を内外で二重にした「二重円筒形式」で高さ32.8メートルと現役の煉瓦造灯台では日本一高い。建築面積は82.03平方メートル。

 76年10月20日に点灯を開始。霧信号が設置された最初の灯台でもある。日本で多くの洋式灯台を設計した英国人技師リチャード・ヘンリー・ブラントンが設計指導。ブラントンが日本で最後に手がけた灯台の一つで「集大成」ともいわれている。内部は128段のらせん階段で、「のぼれる灯台」の一つ。今年は悪天候の日を除き、11月6日まで一般公開する。

 管理する八戸海上保安部交通課の白井雅人課長は「灯台は船の安全航行を目的に設置され、その目的は今も変わらない。140年以上にわたり灯台を守ってきた人たちに敬意を払い、灯台の明かりを消さぬよう、これからも維持管理に努めたい」と語った。

 東通村の畑中稔朗村長は「海上交通の難所である尻屋崎の安全を守ってきた灯台。歴史的価値が評価され非常にうれしい」と語った。尻屋埼灯台を「村の観光のシンボル」と位置づけた上で「価値を知ってもらい、もっと愛される灯台を目指して、夜の観賞ツアーといった今までにないイベントを検討したい。尻屋から東通村、そして下北全体の活性化につながれば」と期待を込めた。

 同灯台は、下北ジオパークの一部。村観光協会の氣仙修会長は「国の重要文化財に指定されることで、下北ジオパークの格も上がるのではないか。『重要文化財』という価値観のもとで、観光客を呼び込むきっかけをつくることが大事」と話した。

 青森県の重要文化財(建造物)は34件となった。

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