繊維くずを再利用した紙を使って立佞武多を制作する福士副会長=23日午後7時半、五所川原市

 3年ぶりに開催される五所川原立佞武多(たちねぷた)祭りで、繊維くずを再利用した紙で制作した中型立佞武多が初めて出陣する。「SDGs(持続可能な開発目標)ねぶた」と銘打ち、祭りで環境問題への意識を高めてもらう。

 祭り主催団体の一つ「運行団体協議会」(運団協、和田祐治会長)が、繊維くずを資源に活用することを目的とした活動を行う一般社団法人「サーキュラー コットン ファクトリー」(CCF、本社東京)と連携して企画。4月から準備を進めてきた。

 使用する紙は50メートルロール2本分。県外でワイシャツを製造する企業から出された繊維くずを活用した。1ロール当たり約7キロの繊維くずが再利用されているという。CCFはねぶたが雨にぬれることを想定し、耐水性を持つ薄い紙を開発。6月に運団協に発送した。

 昨年3月にCCFを設立した渡邊智惠子代表は「地球温暖化が進む中、ごみを減らす重要性は増している。再利用した紙を使ったねぶたが運行されることで、市民や自治体の意識を変えたい」と期待する。

 23日夜、五所川原市内の作業小屋では制作を手掛ける運団協の制作部会担当・福士裕朗副会長(40)が弟子、スタッフと共に紙張りを行っていた。福士副会長は「以前使っていた紙に似ていて繊維くずからできたとは思えない」とし、「制作で使う材料は時代とともに進化している。環境に配慮した紙を使うこともこれからの選択肢になり得る」と語った。

 SDGsねぶたは高さ10メートル(台上げ後)、幅3メートル、奥行き2.5メートル。題材は「牛若丸」で京都・五条大橋を悠々と跳び回る様子を表現した。今年の祭りは新型コロナの影響で、運団協に加盟する22団体中8団体が不参加を表明。「不参加団体の中にも祭りに出たい人はいる。参加を希望する人たちの受け皿をつくりたい」(和田会長)と、SDGsねぶたを運団協特別ねぶたとして運行し、引き手や囃子(はやし)方として個人単位で参加してもらう。

五所川原市

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