春を待つ秘湯 一関・須川高原温泉、間もなく営業開始へ 雪上車に乗り「出勤」する従業員

須川高原温泉の源泉。施設は10日の営業開始に向け、準備を進めている=1日
 岩手県と宮城、秋田両県にまたがる栗駒山の中腹・標高約1120メートルに位置する一関市厳美町の須川高原温泉(稲垣智雄社長)が半年間の冬季休業を経て、間もなく今年の営業を始める。冬場に傷んだ施設の復旧作業を進め、日帰り入浴を10日から受け入れる。強酸性の泉質で親しまれる秘湯が静かに春の訪れを待つ。

 雪に覆われた4月、山に入り、準備に励む従業員たちを追った。国道342号は、まだ冬季通行止め期間中。同行した同15日も除雪作業が行われ、従業員たちは途中で雪上車に乗り換えて「出勤」した。

源泉(左下)から約100メートルの位置にある須川高原温泉(赤い屋根の建物)。周辺にはまだ雪が残る=1日(本社ドローンで撮影)

 日帰りでの作業となるため、現地にとどまれるのは6時間ほど。今年は特に積雪が多く、高さ約10メートルある施設の屋根に迫った。温泉を使い、押し固められた雪を地道に溶かしていく。 

 雪の重みなどで壊れた壁や屋根の修繕作業にも時間がかかる。元大工の千葉力技術係長(63)は「毎年、何かしらの場所が壊れる。闘いだよ」と手際よく作業を進める。4月とはいえ、天気が悪化すれば気温は氷点下近くになる。屋外での作業は寒さとの闘いでもある。

 例年より多い雪や水の確保に難航した影響で、営業開始は当初の計画より10日ほど遅れる。千葉敏則支配人(61)は「宿のすぐそばに源泉を抱える珍しい温泉地。存分に楽しんでいただきたい」とオープンを心待ちにする。

(一関支社・菊池健生)

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