青森県外ケ浜町平舘地区の海と山の間にひっそりとたたずむ温泉旅館「平舘不老ふ死温泉」。常連客だった熊野恵さん(46)が今年、前経営者から同旅館を引き継いだ。現在、女将(おかみ)として宿を切り盛りする熊野さんは「『いいお湯を知ってほしい』との思いを受け継ぎ、子どもからお年寄りまで楽しめる施設にしたい」と意気込んでいる。
弘前藩の官選史書「津軽一統志」によると、付近一帯の温泉は300年も前から存在し、津軽半島では最も古い温泉とされる。同旅館は数十年前からあり、2002年5月以降は前女将の森山まりさん(76)らが経営していた。
むつ市生まれの熊野さんが同旅館を初めて訪れたのは21年10月。心身をゆっくり休められる場所を求めて訪ねたのが最初だった。弱アルカリ性で源泉かけ流しのお湯は、熱すぎずさらさらして長く漬かっていられる。海と山の幸を使ったぜいたくな食事もおいしい。すぐに魅了され、当時住んでいた八戸市から足しげく通うようになった。
他の常連客とも顔なじみになりつつあった22年春、森山さんから「(旅館を)やってみないか」と持ちかけられた。森山さんが高齢化や後継者不在に悩んでいたことも、旅館に思い入れがあることも聞いていた。
保育士として働いた時期が長く経営は素人だったが、これまでの経営状況を見せてもらった上で、やっていける-と判断。「私もこのお湯をなくしたくない。大変だろうけどチャレンジしよう」と事業承継することを決心した。
その後は、あおもりスタートアップセンター(青森市)や県信用保証協会など支援機関の協力を得ながら半年ほどかけて準備に奔走した。森山さんを手伝い仕事の流れをつかむ傍ら合同会社を設立。事業計画の作成や補助金の申請を経て、金融機関の融資を受け旅館の土地や建物を購入し、6月上旬に新生・平舘不老ふ死温泉を始動させた。
現在は熊野さんと娘、調理員の3人態勢で8部屋を回す。釣りやツーリングなどが目当ての県外客が多いという。近年は日帰り入浴の対応や冬期間の営業をしていなかったが「地元の人に開放する日を設けてもいいかも。冬も開けようかな」と意欲は尽きない。
森山さんは「まだ若い熊野さんなら-と思って声をかけたが、引き受けてくれてありがたい。旅館がこの先も長く続いてくれればうれしい」と感謝する。
思いを託された熊野さんは「リピーターを大事にしつつ、SNS(交流サイト)での情報発信や山菜を一緒に採りに行くなど季節のイベント企画にも力を入れ、若い人や地元の人など新しいお客さんにも来てもらえたら」と話した。
弘前藩の官選史書「津軽一統志」によると、付近一帯の温泉は300年も前から存在し、津軽半島では最も古い温泉とされる。同旅館は数十年前からあり、2002年5月以降は前女将の森山まりさん(76)らが経営していた。
むつ市生まれの熊野さんが同旅館を初めて訪れたのは21年10月。心身をゆっくり休められる場所を求めて訪ねたのが最初だった。弱アルカリ性で源泉かけ流しのお湯は、熱すぎずさらさらして長く漬かっていられる。海と山の幸を使ったぜいたくな食事もおいしい。すぐに魅了され、当時住んでいた八戸市から足しげく通うようになった。
他の常連客とも顔なじみになりつつあった22年春、森山さんから「(旅館を)やってみないか」と持ちかけられた。森山さんが高齢化や後継者不在に悩んでいたことも、旅館に思い入れがあることも聞いていた。
保育士として働いた時期が長く経営は素人だったが、これまでの経営状況を見せてもらった上で、やっていける-と判断。「私もこのお湯をなくしたくない。大変だろうけどチャレンジしよう」と事業承継することを決心した。
その後は、あおもりスタートアップセンター(青森市)や県信用保証協会など支援機関の協力を得ながら半年ほどかけて準備に奔走した。森山さんを手伝い仕事の流れをつかむ傍ら合同会社を設立。事業計画の作成や補助金の申請を経て、金融機関の融資を受け旅館の土地や建物を購入し、6月上旬に新生・平舘不老ふ死温泉を始動させた。
現在は熊野さんと娘、調理員の3人態勢で8部屋を回す。釣りやツーリングなどが目当ての県外客が多いという。近年は日帰り入浴の対応や冬期間の営業をしていなかったが「地元の人に開放する日を設けてもいいかも。冬も開けようかな」と意欲は尽きない。
森山さんは「まだ若い熊野さんなら-と思って声をかけたが、引き受けてくれてありがたい。旅館がこの先も長く続いてくれればうれしい」と感謝する。
思いを託された熊野さんは「リピーターを大事にしつつ、SNS(交流サイト)での情報発信や山菜を一緒に採りに行くなど季節のイベント企画にも力を入れ、若い人や地元の人など新しいお客さんにも来てもらえたら」と話した。