トゲクリガニ漁盛ん、需要期待はしぼみがち

網から外され、たるに積み上げられていくトゲクリガニ=10日午前、野辺地町

 青森県野辺地町沖の陸奥湾でトゲクリガニの漁が本格化している。「花見ガニ」とも呼ばれる春の味覚だが、新型コロナウイルスの感染拡大で県内の桜まつりが軒並み中止となったため、需要は不透明。漁業者らは「今年は値段が上がらないのでは」と不安をのぞかせる。

 10日朝、野辺地漁港に面した浜小屋では、同町の野澤茂さん(77)と妻の百合子さん(73)が網に掛かったトゲクリガニを「かぎ」と呼ばれる道具を使って外していた。午前6時に出漁し、約4キロ沖に仕掛けておいた刺し網を引き揚げ。この日は20キロほどの漁獲があった。

 花見の時期、桜の下で人々がカニを頬張る光景は、青森県の風物詩の一つだ。このためトゲクリガニ漁は春祭りシーズンである大型連休に向けて盛んになっていく。野辺地町漁協によると、現在の浜値はメスで1キロ当たり400円前後だが、例年ならピーク時には同1500~2千円の値がつくという。

 しかし、今年は弘前公園をはじめ県内各地の桜まつりが中止に。需要が見通せないことを受け、仲買業者の1人は「連休前後でも、例年ほどの値はつかないだろう」との見方を示す。

 野澤さん夫妻も「だいぶ(カニに)身が入ってきた。でも、値段は上がらないのかな」と浮かぬ顔。野辺地沖でのカニ漁は順調に推移しているだけに、「それぞれのお宅で、ゆでたてのおいしいカニを食べてもらいたい」と願った。

 野辺地町漁協も政府の緊急事態宣言後、取引のある東京や大阪、神奈川県内の飲食店からの注文がキャンセルになるなど、新型コロナウイルスの影響が出始めている。

 杉山正七統括部長は「イベントでの販売もできそうにないので、家庭での消費が頼みとなる。インターネット通販や(町内の産直施設である)のへじ活き活き常夜燈市場での売り上げに期待したい」と話している。

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