東北町・公立ぎんなん寮に「ハンズハム」直売所

公立ぎんなん寮が製造・販売する「ハンズハム」のハムやウインナー(東北町提供)

 公立ぎんなん寮は、青森県東北町南部の丘陵地にある知的障害者支援施設。45人の入所者と26人の通所者が、花の栽培やクリーニングなどの業務に従事している。

 同寮の敷地内にある工場で造られているのが「ハンズハム」。発色剤や防腐剤、合成保存料を一切使わない「本物のおいしさ」を追求した商品として、長年ファンに愛されてきた。

畜産事業が原点

 県産の上質な豚肉だけを使い、低塩、低脂肪をモットーに製造。桜の原木でたっぷりとくん煙するため、一般的な市販品に比べ香りが強いのも特徴だ。ハムだけでなく、ベーコンやポークウインナー、骨付きフランクフルトなど商品はバラエティーに富む。

 1981年、旧上北町の放牧地に開設された公立ぎんなん寮には、当初豚舎と牛舎があった。ここで豚や牛を肥育し出荷する事業を行っていたことが、独自で食肉加工を行うきっかけとなった。今は畜産からは撤退し、ハム造りだけが残った形となっている。

 製造は職員と入所者、通所者が協力して行う。衛生と安全を徹底し、一貫した手づくり。月曜日から金曜日まで、1日8人ほどが作業に当たっている。

 84年のスタート後しばらくは、同寮を運営する上北地方教育・福祉事務組合や役場、学校給食センターに卸すのみだった。その後、25年ほど前から道の駅への納入を開始。現在は東北町のほか七戸町や十和田市の道の駅で販売している。また、同寮の敷地内にある直売所「喫茶ハンズ」でも買い求めることができる。

保存料を使わず

 さらに15年ほど前からは、インターネット販売サイト「かめあし商店」(弘前市)と協力し、ネット通販も手掛けている。食肉加工班を指導する、同寮の工藤哲郎総括主幹(57)は「添加物をほとんど使わないという珍しさもあり、当初は結構注文が入った。今はそれほどではないが、定期的に注文は来ている」と話す。

 店頭やネット販売に加え、大きな支えとなっているのが「ぎんなん寮友の会」の会員だ。上十三地区のほか青森市や八戸市など県内各地に約350人おり、定期的に商品を購入している。これらにより年間の売上額は約1600万円(2018年度実績)に上っている。

 ハンズハムは保存料を使わないため、賞味期間が製造から20日程度と短く、「作り置き」が難しい。このため新たな顧客に対しては、基本的に注文が入ってから製造する形になる。東北町役場からふるさと納税の返礼品にする提案を受けたこともあったが、「メールで注文が入ってから3、4日で届けるというシステムは、自分たちにはできない」(同寮)との事情から、断らざるを得なかったという。

 少子化による学校給食センターへの出荷減などで、売上高は下降傾向にある。それでも製造方法を変え、賞味期間を延ばすといったことを検討したことはない。「肉そのものの味」(工藤総括主幹)を愛するファンのため、愚直に今の造り方を守っていく考えだ。

ハム工場では職員や入所者が協力して作業に当たっている。県産豚肉だけを使うのも特徴

直売所の「喫茶ハンズ」でも購入することができる商品の数々

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