花鳥図“再会”に熱視線・中泊で公開始まる

春の一般公開初日、ボランティアガイドの説明を受けながら2組のふすま絵を鑑賞する見学者

 貴重なふすま絵やステンドグラスが現存する青森県中泊町の旧家「宮越家」で23日、春の一般公開が始まった。一連の作品と判明した同家離れ「詩夢庵(しむあん)」のふすま絵「春景花鳥図(しゅんけいかちょうず)」と、「秋冬花鳥図(しゅうとうかちょうず)」(英国・大英博物館所蔵)の高精細複製品が並ぶ特別展示が今回の目玉。明治初期に離散した2組の連なりが約150年ぶりに再現され、県内外から訪れた人々が狩野派の美の世界を堪能した。

 高精細複製品は大手精密機器メーカー・キヤノン(東京)と京都文化協会が展開する「綴(つづり)プロジェクト」の一環で制作され、2組の花鳥図がかつて所蔵されていた談山(たんざん)神社(奈良県)に奉納されていた。今回、同神社が協力し、宮越家に運び込まれた。

 ボランティアガイドの案内で詩夢庵を巡った見学者は、金色に輝く2組の花鳥図の“再会”に感嘆の声を上げ、絵の中で繰り広げられる冬から春への連続性を確かめた。

 八戸市から訪れた阿部優子さん(71)は「花鳥図の関連を発見したり、それを再現する技術があって、こうして150年ぶりの再会を間近で見ることができる。参加は5回目だが、毎回新しい発見があってすごい」と語った。

 また、見学者は国内ステンドグラス作家の草分けである小川三知(1867~1928年)の傑作とされる「四季花木障子」や「十三潟景観」なども鑑賞。大正期のステンドグラスの美を満喫した。

 春の一般公開は6月29日までで、チケット約3千枚はすでに完売した。「秋冬花鳥図」の複製品が宮越家に置かれるのは秋の一般公開(9月26日開始)まで。

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