小説「津軽」から80年 中泊で企画展

こどまり学園の運動会を訪れた柳澤さん(左)。「津軽」で描かれた運動会から80年後の光景を感慨深げに見守る

 青森県五所川原市出身の作家太宰治をしのぶ19日の「桜桃忌」が今年も近づいてきた。隣の中泊町では、太宰が小説「津軽」の執筆のため同町を訪れた1944(昭和19)年から80年となるのを記念し、写真展や企画展が開催または予定されている。「『津軽』が書かれた当時と流れている“空気”はそんなに変わっていないと思う。ぜひ来て感じてほしい」「展示を通して当時の雰囲気の追体験を」と関係者はPRする。

 爽やかな青空が広がった5月18日、同町小泊地区にある小中一貫校「こどまり学園」では、大運動会が開かれていた。小説「津軽」は、小泊の国民学校の運動会で、主人公が幼い日に別れた子守の「たけ」(越野タケさん)と再会する感動的な場面で幕を閉じる。校舎の位置などは違うものの、グラウンドの場所は80年後の今もほぼ変わらない。

 会場には、同地区にある小説「津軽」の像記念館の元館長・柳澤良知さん(85)の姿があった。柳澤さんによると、太宰が実際に運動会の会場でタケさんと再会したのは44年の5月27日、天気は曇りだったという。

 児童や生徒がリレーや綱引きで熱戦を繰り広げる様子を見た後、柳澤さんは「素晴らしい大運動会。子どもたちには、タケと太宰が再会した運動場で走り、競技をしたことを誇りに思ってほしい。そして『津軽』を読む時に思い出してほしい」と、しみじみ語った。

 学園に隣接する同記念館では、4月から「再会80周年記念」と銘打った写真展が開かれている。太宰とタケさんの写真はもちろん、昭和30年代の運動会を写したものなどを多数展示。小泊での太宰の足跡や、当時の村の様子をうかがい知ることができる。

 「関東はもちろん、大阪や沖縄から来る人もいる。太宰がどういう気持ちで書いたのか-を、現場に立って感じたいということだと思う」と話すのは、同館を運営する小泊観光協会の對馬有二事務局長(68)。企画した柳澤さんは「2人の再会の地が小泊だというのは私たちの誇り。写真展を通して、そのことを強調したい」と語る。

 一方、中里地区にある同町博物館は7月20日から9月22日まで、企画展「小説『津軽』の旅80周年~旅人がみた中泊」を開く。こちらは太宰の旅だけでなく、江戸時代の武士から近現代の作家まで、奥津軽を訪れた人々の紀行文や小説なども紹介し、中泊の姿を浮かび上がらせる内容となる。

 「津軽」については、作中に出てくる宴会や運動会の場面を、当時使われた食器などを用いて再現することも計画している。齋藤淳館長は「博物館ならではの、実物資料を使った復元というものを行ってみたい。当時の雰囲気を追体験してもらえれば」と話している。

「再会80周年記念写真展」が開かれている記念館内。紹介するのは對馬事務局長

記念館外の再会公園にある小説「津軽」の像。再会を果たした太宰とタケさんを表現している

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