ふすま絵 宮越家で150年ぶり再会・中泊


 昨年、一連の作品であることが判明し注目を集めた青森県中泊町の旧家「宮越家」のふすま絵「春景花鳥図(しゅんけいかちょうず)」と、英国・大英博物館所蔵の「秋冬花鳥図(しゅうとうかちょうず)」の高精細複製品が20日、同家の離れ「詩夢庵(しむあん)」で報道陣に披露された。23日から春の一般公開で並んだ形で特別展示される。かつて奈良県の談山(たんざん)神社に所蔵され、明治初期に離れ離れとなった2組が約150年ぶりの“再会”を果たした。

 町が一般公開を前に内覧会を開いた。2組のふすま絵は1600~1624年ごろに狩野派絵師が制作。談山神社が所蔵していたが、1870年ごろ、仏教弾圧のための「廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)」運動で離散したと考えられている。

 複製品は大手精密機器メーカー・キヤノン(東京)と京都文化協会が展開する「綴(つづり)プロジェクト」の一環で制作、2018年に談山神社に奉納。特別展示は同神社が協力し、宮越家に運び込まれた。

 内覧会では、特別展示を監修した狩野派研究専門家で元京都国立博物館主任研究員の山下善也さんが解説。両ふすま絵に見られる「点苔(てんたい)描写」と呼ばれる特徴的な技法や、草花や鳥が季節とともに移ろう様子の表現に触れ、2組に連続性があることを説明した。

 内覧会に駆け付けた同プロジェクト共同代表の平澤利和・キヤノンサステナビリティ推進部長は「本物と複製品を間近で合わせて見られる機会はなかなかない。多くの若者に見てほしい」と話した。京都文化協会の田辺幸次代表理事は「両ふすま絵が並ぶまで緊張したが、雰囲気が一致してほっとした」と語った。

 また、内覧会に先立って町役場で行われた記者発表会では、宮越家12代目当主の寛さんが「ふすま絵に生まれ故郷の空気を吸わせてあげられた。150年ぶりの“再会”に立ち会えて幸せを感じている」と喜びを語った。

宮越家の離れ「詩夢庵」に並ぶ2組のふすま絵。写真中央の角を境に、左側が「秋冬花鳥図」の高精細複製品、右が「春景花鳥図」(キヤノン提供)

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