発想の源泉に旧蔵図書 青森県近代文学館で寺山修司展

 青森市荒川の県近代文学館(県立図書館2階)は、常設展示作家のうち特定の作家にスポットを当てて紹介する「エクステンド展示」で、「寺山修司 発想の源泉~旧蔵図書から」を開いている。俳句や短歌、詩、映画、演劇、評論、エッセーなどでマルチぶりを発揮した寺山。その「発想」と「言葉」の源は多彩なジャンルの書籍と、膨大な読書量にあった!

 今回展示しているのは、秘書兼マネジャーだった田中未知さん所蔵分の中からランダムに選ばれた約60冊。本棚風にずらりと並んだ本の写真パネルも展示され、背表紙で寺山がどんな本を読んでいたかが分かる趣向となっている。

 戯曲集や演劇・映画論以外にも、心理学や現代思想、民俗学、歴史書など多岐にわたる。例えば、ビアスの「悪魔の辞典」。一般常識を逆方向からシニカルに切り取り、新聞コラムなどでよく使われる箴言(しんげん)警句の書は自著エッセーでも引用された。中世に語り継がれた芸能「説経節」に関する本は、舞台作品「身毒丸」にモチーフを与えたと思われ、一部に折り目が付いてある。

 そのほか、寺山専用の原稿用紙が挟まったものや、寺山の筆跡と思われる鉛筆の書き込みも見られる。

 一方、寺山が友人らに近況報告として送っていた「ニュースレター」。毎回の書き出しに「ジム・ヘインズの真似をして」ニュースレターを送り始めたことが記されているが、そのヘインズ著の冊子が今回展示の旧蔵図書に含まれている。同冊子の見返しには「Jim is my friend」とペン書きで記されており、寺山とヘインズの交流を物語る資料と言える。

 企画を担当した同文学館の伊藤文一室長は「『書を捨てよ、町へ出よう』の言葉とは異なって、寺山は本の虫であり、本によって知識を構築した。既成概念を次々に、軽々と打ち砕いてきた寺山の発想の背景に、本があったのだと思って眺めてもらえたら」と話している。

 同展は2020年5月下旬まで(毎月第4木曜日、1、3、5月第2水曜日、19年12月29日~20年1月3日、4月1日は休館)。開館時間は午前9時~午後5時。入場無料。問い合わせは同文学館(電話017-739-2575)へ。

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