「文学紀行-青森県の名湯」弘前で

1日から始まった「文学紀行-青森県の名湯」

 弘前市出身の石坂洋次郎など明治以降の文人たちが青森県の温泉地を訪れ、魅力を紹介した作品などをテーマにした「文学紀行-青森県の名湯」が1日、弘前市立郷土文学館で始まった。40人を超える文人たちの約50作品や、ゆかりの品々が並ぶ。同館の企画研究専門員・櫛引洋一さんは「文人の目や感性を通した温泉地の魅力をぜひ感じ取ってほしい」と話している。

 県内の温泉地を南津軽や黒石温泉郷、浅虫温泉など大きく7地区に分け展示。温泉地に関する作品の抜粋と実際の書籍を並べている。

 嶽(だけ)温泉(弘前市)を訪れた石坂洋次郎は「どこの湯宿も百姓の湯治客で一杯だつた。広場には一日中そこはかとない生活の物音が絶えなかつた」(作品集「わが日わが夢」の一編「山の湯」)などと温泉の様子を事細かに描写している。そのほか、太宰治や田山花袋、井上靖、竹久夢二らの作品を紹介している。

 このほかにも棟方志功が1933年に酸ケ湯温泉を描いた絵や、弘前市出身の葛西善蔵の名前が書かれた22年のヤマニ仙遊館(大鰐町)の宿泊人名簿、大町桂月が愛用していた硯(すずり)なども展示している。

 櫛引さんは「文人たちの感覚は奇抜なものもあり、普段目にする温泉地が風情のある違ったものにも見えてくる」と話した。

 5月から11月にかけ4回、展示に関する講演を行う。問い合わせは同館(電話0172-37-5505)へ。

 会期は来年3月21日まで。年末年始(12月29日~1月3日)は休館。

棟方志功が1933年に描いた酸ケ湯温泉の全景画。後年54年に短歌を書き加えた

葛西善蔵が1922年に大鰐町のヤマニ仙遊館に宿泊した際の宿泊人名簿(赤い矢印が葛西善蔵)

弘前市

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