「朝ドラ主人公も入った湯」、秋田県鹿角市の「ふけの湯」 牧野富太郎の写真展示

 秋田県鹿角市八幡平の温泉宿「ふけの湯」に、放送中のNHK連続テレビ小説「らんまん」の主人公のモデルとなった植物学者、牧野富太郎(1862~1957年)の写真が展示されている。八幡平へ調査に訪れた際のもので、温泉には1927(昭和2)年8月下旬に数日間滞在した。温泉愛好家の間では「朝ドラの主人公も入った湯」としてにわかに注目が集まっている。



 日本の植物分類学の基礎を築いた牧野は、植物採集のため全国各地を歩いた。出身地・高知県にある県立牧野植物園によると、その様子は牧野の日記やメモ帳、採集ノート、知人らの伝記などを組み合わせた「牧野富太郎植物採集行動録」にまとめられており、27年8月25~27日に八幡平を訪れたとの記録が残る。

 ふけの湯の17代女将(おかみ)、阿部恭子さん(83)によると、写真の左側に牧野が、右奥には旧宮川村長の阿部藤助(ふけの湯15代目当主)、右手前には当時の営林局関係者とみられる人物が写る。牧野がふけの湯の湯神に御神木を奉納した際、撮影したとみられる。八幡平の山中を案内した藤助は、牧野について「朗らかで人間味のある人物だった」と話していたという。

 写真は長年、宿のフロント奥にある「ふけの湯神社」に飾られていた。「らんまん」の放送が始まっても、写った人物が牧野だと気付く客はほとんどいなかった。



 100年近く前に八幡平を訪れていたことを阿部さんが客に紹介したり、ホームページに写真を掲載したりしたところ、朝ドラファンや温泉愛好家らの関心が高まった。

 宿の周辺では、牧野が仙台市で発見し、研究を支えた愛妻・寿衛子(すえこ)にちなんで名付けた「スエコザサ」も見られるという。

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