【連載うまい森・味めぐり】完熟のリンゴ加工品/板柳

板柳産の完熟リンゴのみを原料に作られる「Ringo Work」ブランドの各種商品。後方にある「ふるさとセンター本館」のショップで買い物を楽しめる

 青森県に初めて西洋リンゴの苗木が持ち込まれたのは1875(明治8)年。板柳町では、早くもその翌年から栽培が始まったという。町産業振興公社「りんごワーク研究所」が製造、販売する加工品は、産地のプライドをかけて完熟素材にこだわり、県外や海外にも販路を広げている。

 2016年12月、町で一つの世界記録が誕生した。「リレー形式で食べさせ合った最多人数」を競うギネス公式記録への挑戦で、同町の津軽りんご市場に集まった1101人全員が、リンゴを食べさせてもらうリレーに成功したのだ。町民がリンゴに寄せる思いの熱さは、こうした出来事からも伝わってくる。

 「Ringo Work」のシンプルなロゴをデザインしたジュースやジャム、ドレッシングなどは20商品に上る。高級感のある贈答品としても高く評価され、北海道から沖縄まで全国の百貨店やスーパー、さらに香港、台湾、上海、マカオ、シンガポール、米国などでも販売されるようになった。

 完熟リンゴを原料に使うのは、1990年の公社設立時からとのこと。りんごワークで販売促進を担当する宮崎光哲さんは「町の基幹産業であるリンゴを守り、農家経営を支え続けることが役目。だからこそ、ライバルとの競争に負けない高品質な商品を作らなければ」と力を込める。

<「町ぐるみで安全・安心」 成田誠町長>

 板柳町はリンゴと共に歩み、リンゴにこだわったまちづくりを進めています。2002年には全国初の「りんごまるかじり条例」を制定。町ぐるみで安全・安心な生産体制を築いてきました。

 リンゴのPRでは、町出身で大相撲の人気力士だった振分親方(元高見盛関)を、りんご大使に任命し、特産品販売や「ふるさと納税」の促進に協力してもらっています。昨年は貯蔵性に優れた地元生まれの新品種「明秋(めいしゅう)」が市場デビューし、今後の普及・拡大に期待しています。

 リンゴの拠点施設「ふるさとセンター」では大浴場の改築が進められ、年内に家族風呂や足湯も完成する予定。りんごワークの新商品開発も積極的に進め、さらにブランド力を高めていきます。

<夜空赤々と染め灯まつり 多彩なイベント9、10日>

 豊かな出来秋を祈る板柳町の「りんご灯まつり」は8月9、10の両日、役場駐車場を主会場に、ねぷた合同運行、花嵐桜組によるよさこい演舞など多彩なイベントが行われる。名物の「りんご山笠」は、たわわに実ったリンゴに見立てた真っ赤なちょうちんが夜空を赤々と染め、威勢の良い掛け声と共に街を練り歩く。11日夜には、岩木川河川公園で花火大会も開かれる。

 問い合わせは町役場「りんごの里いたやなぎ」まつり実行委員会(電話0172-73-2111)へ。

成田誠・板柳町長

りんご灯まつりの名物・山笠運行

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