八戸産ブドウ出来上々 収穫量過去最高へ

中村ワイン用ぶどう園で収穫期を迎えたメルロー=30日午前、八戸市南郷

 青森県八戸市南郷地区で栽培されている「八戸ワイン」の原料となるブドウの本年度収穫量が、過去最高を更新する見通しであることが30日、分かった。市によると予想収穫量は2024年度の20.7トンを上回る約25トンで、県南地域で顕著だった今夏の高温少雨が恵みになったとみられる。同市南郷島守の中村ワイン用ぶどう園では、主力品種メルローの収穫が最盛期を迎えている。

 同園園主の中村倉雄さん(67)は「暑さと渇水は心配だったが、ブドウにとっては良かったようだ」と手応えを語る。15年からワイン用ブドウの栽培を始め、約20アールの園地でいずれも赤ワインの原料となるメルローとキャンベルアーリーを育てている。キャンベルアーリーの木100本分の収穫は終え、この日は朝8時過ぎから10人で120本分のメルローの収穫を始めた。

 八戸市を含む県南では6、7月、県内の他の地域に比べ、平均気温が平年値を大きく上回り、降水量が平年比10%台という渇水状態が続いた。中村さんによると、ブドウは雨が多いと木が病気になりやすく、収量が落ち込む原因となる。そのため、少雨の今季は生育が良く、収量は平年並みかやや多めを見込んでいるという。平均糖度は22度で「例年以上の出来」という。

 同市は、14年度から「八戸ワイン産業創出(振興)プロジェクト」を展開し、南郷地区でのブドウ栽培を後押し。八戸産ブドウ85%以上を使用した市内醸造のワインを「八戸ワイン」と定義し、需要拡大を図っている。南郷地区では現在、13戸がワイン用ブドウを栽培している。24年度の収穫量は初出荷の17年度の2.7トンから約8倍に増加。八戸ワイン製造量もコロナ禍での落ち込みを耐え、17年度の955本から24年度は4890本に増加した。

 市農業経営振興センターの寺沢智幸所長は「10年近い取り組みがようやく軌道に乗ってきた。この産業をいかに伸ばしていくか、専門家らと協力しながら今後も応援していきたい」と話す。

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