秋田県内でクマによる人身被害や大量出没が続く中、山あいの温泉地には予約客や宿泊を検討している人たちからの問い合わせが相次ぎ、キャンセルも出ている。10月には岩手県北上市の温泉旅館で、露天風呂の清掃作業中だった男性従業員がクマに襲われ犠牲になった。秋田県の事業者は安全対策を取っているとし、早期の沈静化を願う声が上がる。
10月9日に70代女性がクマに襲われた湯沢市皆瀬の小安峡温泉。全国でクマによる人身被害が続いていることもあり、ここ数週間は安全面やクマの出没情報を問い合わせる電話が増えている。
温泉街の一角にある小安峡温泉総合案内所には、県内外から「クマは大丈夫か」「最近は近くに出たか」などと尋ねる電話が複数あった。昨年はクマに関する問い合わせはほとんどなかったという。
案内所ではクマを寄せ付けないよう、出入り口でラジオを流し続けて警戒。スタッフの1人は「注意しながら楽しんでもらいたい」と呼びかける。
小安大湯温泉協会の阿部司会長によると、経営する阿部旅館では夕方にロケット花火を打ち上げて大きな音を鳴らすなどしている。「不安がる人は増えていると感じる」と阿部会長。「安全面には最大限配慮して営業している。ゆっくりくつろいでほしい」と話す。
仙北市田沢湖の乳頭温泉郷でも、クマに関する問い合わせが相次いでいる。乳頭温泉郷協同組合によると、各宿泊施設がクマ鈴を貸し出しているほか、目撃情報の収集、足跡やふんなど痕跡の見回りといった対策を取っている。
組合の平体直也理事長が支配人を務める休暇村乳頭温泉郷では、全県的にクマの出没が多かった2023年以降、問い合わせが増え始めた。北上市で人身被害が起きて以降はさらに増加したといい、予約済みの県外客を中心に1日に10~20件の電話を受けている。
平体理事長は「組合に加盟する宿から海外客の予約キャンセルが顕著だと聞いており、『秋田はクマがいるから立ち入れない』という印象が広がりつつあることを危惧している。温泉郷では目撃は少なく、クマに襲われる危険性はないと思われる」と訴える。
鹿角市十和田大湯の大湯温泉郷で「千葉旅館」を営む千葉潤一社長によると、10月下旬以降、予約客からクマの出没状況を心配する問い合わせの電話があり、その後にインターネット上の予約がキャンセルとなる事例が十数件あるという。
「キャンセルの明確な理由は分からないが、紅葉が見頃のハイシーズンに件数がこれほど多いのは異例」と千葉社長。クマの出没が収束する気配を見せていないことに加え、北上市の人身被害が影を落としているとみる。
庭園を眺められる露天風呂が呼び物の千葉旅館で、これまでクマが目撃されたことはない。庭園は朝方までライトアップしており「クマの出没抑止につながっているかもしれない」と推測する。
クマ対策として、休館日は消灯している露天風呂のライトアップの継続や、旅館の自動ドアを手動にすることも検討しているという。
温泉郷の旅館の多くは、大湯地区の住宅などが立ち並ぶ一角にある。「絶対的な安全を保証するのは難しいけれども、宿で過ごす分にはクマに遭遇する危険性はそこまで高くない。紅葉をぜひ見に来てもらいたいが、観光シーズンに『100%安全』とは言えないのがもどかしい」と悩みを口にした。
10月9日に70代女性がクマに襲われた湯沢市皆瀬の小安峡温泉。全国でクマによる人身被害が続いていることもあり、ここ数週間は安全面やクマの出没情報を問い合わせる電話が増えている。
温泉街の一角にある小安峡温泉総合案内所には、県内外から「クマは大丈夫か」「最近は近くに出たか」などと尋ねる電話が複数あった。昨年はクマに関する問い合わせはほとんどなかったという。
案内所ではクマを寄せ付けないよう、出入り口でラジオを流し続けて警戒。スタッフの1人は「注意しながら楽しんでもらいたい」と呼びかける。
小安大湯温泉協会の阿部司会長によると、経営する阿部旅館では夕方にロケット花火を打ち上げて大きな音を鳴らすなどしている。「不安がる人は増えていると感じる」と阿部会長。「安全面には最大限配慮して営業している。ゆっくりくつろいでほしい」と話す。
仙北市田沢湖の乳頭温泉郷でも、クマに関する問い合わせが相次いでいる。乳頭温泉郷協同組合によると、各宿泊施設がクマ鈴を貸し出しているほか、目撃情報の収集、足跡やふんなど痕跡の見回りといった対策を取っている。
組合の平体直也理事長が支配人を務める休暇村乳頭温泉郷では、全県的にクマの出没が多かった2023年以降、問い合わせが増え始めた。北上市で人身被害が起きて以降はさらに増加したといい、予約済みの県外客を中心に1日に10~20件の電話を受けている。
平体理事長は「組合に加盟する宿から海外客の予約キャンセルが顕著だと聞いており、『秋田はクマがいるから立ち入れない』という印象が広がりつつあることを危惧している。温泉郷では目撃は少なく、クマに襲われる危険性はないと思われる」と訴える。
鹿角市十和田大湯の大湯温泉郷で「千葉旅館」を営む千葉潤一社長によると、10月下旬以降、予約客からクマの出没状況を心配する問い合わせの電話があり、その後にインターネット上の予約がキャンセルとなる事例が十数件あるという。
「キャンセルの明確な理由は分からないが、紅葉が見頃のハイシーズンに件数がこれほど多いのは異例」と千葉社長。クマの出没が収束する気配を見せていないことに加え、北上市の人身被害が影を落としているとみる。
庭園を眺められる露天風呂が呼び物の千葉旅館で、これまでクマが目撃されたことはない。庭園は朝方までライトアップしており「クマの出没抑止につながっているかもしれない」と推測する。
クマ対策として、休館日は消灯している露天風呂のライトアップの継続や、旅館の自動ドアを手動にすることも検討しているという。
温泉郷の旅館の多くは、大湯地区の住宅などが立ち並ぶ一角にある。「絶対的な安全を保証するのは難しいけれども、宿で過ごす分にはクマに遭遇する危険性はそこまで高くない。紅葉をぜひ見に来てもらいたいが、観光シーズンに『100%安全』とは言えないのがもどかしい」と悩みを口にした。