太宰が泊まった部屋 体感/大鰐・ヤマニ仙遊館

コンセプトルームの内覧会で開かれた、津軽カタリストによる朗読劇。春の弘前城を描いたふすま絵(右)が宿泊客を出迎える=16日午後7時過ぎ、大鰐町の「ヤマニ仙遊館」

 青森県五所川原市金木町出身の作家太宰治が学生時代に滞在した、大鰐町の老舗温泉旅館「ヤマニ仙遊館」は、当時太宰が泊まった可能性が高い部屋を「コンセプトルーム」に改装、1日から宿泊を受け付けている。16日、関係者向けに内覧会を開き、来場者は小説「津軽」を思い起こさせる雰囲気満点の室内を鑑賞した。

 同館は1872(明治5)年創業。現在の建物は97(同30)年に建てられ、本館と土蔵が国登録有形文化財となっている。コンセプトルームは同町など津軽14市町村でつくる観光法人・クランピオニー津軽の客室づくり企画の第5弾。太宰文学の世界を味わえるよう、母・たねと宿泊した可能性のある2室のうち「藤の間」を改装し、作業が進むもう一方の「菊の間」も25日から宿泊可能という。

 「藤の間」で宿泊客を出迎えるふすま絵は、「津軽」で描写された春の弘前城をモチーフに黒石市の水墨画家・村元芳遠(ほうえん)さん(75)が描いた。同館5代当主の菊池啓介さん(59)は、朝日が差すと岩木山のシルエットが浮かび上がる障子を制作した。

 内覧会では弘前市の声優劇団「津軽カタリスト」による朗読劇も行われ、来場者は太宰文学の世界にすっかり没入。菊池さんは「太宰が泊まったときの気持ちを想像できる部屋にしたかった」、村元さんは「宿泊客に喜んでもらえるよう、チャレンジの気持ちで取り組んだ」と思いを語った。

 コンセプトルームは2人以上で宿泊可能。料金は1泊朝食付きで、繁忙期は1人1万5千円、それ以外は同1万3千円(いずれも税込み)。予約は同館公式サイトや各旅行サイトで受け付ける。

朝日が差すと岩木山のシルエットが浮かび上がる障子

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