八戸・一王寺遺跡で盛土遺構など確認 是川縄文館が現地説明会

複数の土器埋設炉が見つかった竪穴建物跡を見学する参加者ら

 青森県八戸市の八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館は18日、史跡・是川石器時代遺跡を構成する一王寺遺跡で、本年度発掘調査の現地説明会を行った。一王寺遺跡の南東側斜面からは縄文時代前期-中期の盛土(もりど)遺構や竪穴建物跡などが見つかり、各時期の集落の広がりや場所の移り変わりを解明する手掛かりを得た。

 一王寺遺跡は縄文時代前期-後期の集落遺跡で、三方を新井田川と二つの沢に囲まれた台地に立地している。同館は2019年度から台地南側の遺構分布を確認する調査に着手。最終年度の本年度は、調査対象区域内の北西側斜面と南東側斜面の約7600平方メートルで、7月1日から今月末まで発掘を行っている。

 説明会は午前と午後の2回行い、計54人が参加。同館の山田貴博主事兼学芸員と杉山陽亮副参事の案内で、大量の土器が密集した状態で見つかった縄文時代前期ごろの竪穴建物跡や、土器を地面に埋めて作った「土器埋設炉」が計14基出土した前期後葉とみられる竪穴建物跡などを見て回った。

 今回の調査では人の下顎(かがく)の骨、板状土偶、円筒土器、石冠(せっかん)なども出土した。

 一王寺遺跡近くに住む60代女性は「発掘中の現場を見られるのは貴重。自然豊かな場所で何千年も前に縄文人が暮らしていた痕跡を感じることができた」と話した。

 同館は来月8日午後2時から本年度の市遺跡調査報告会を開き、一王寺遺跡などで得た成果を説明する。

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