
今年9月13日で没後50年を迎える青森市出身の世界的板画家・棟方志功(1903~75年)。故郷の青森市ではこの夏、記念の展覧会やイベントが相次ぐ。県立美術館と県近代文学館では記念展が開幕し、故郷への思いがあふれる板画や倭画(やまとが)、県内の文人たちとの交流を示す資料など、棟方の郷土愛にスポットを当てた展示が行われている。
▼作品ににじむ郷土愛/県立美術館
同市の県立美術館では、コレクション展内の特別企画として「青森の子 世界のムナカタ」(青森市教委などによる実行委員会主催)を11月3日まで開催中。棟方が母校の同市立長島小学校に贈った作品や関係資料など計約100点を展示している。
通常の棟方専用展示室の2倍の広さを使った記念展では、板画や油彩画、書など作品約60点、愛用品や文化勲章などの関連資料約40点を紹介。皿いっぱいに「AOMORI NO KO」の文字が躍る陶器の大皿や、長島小の創立記念で児童の安全を祈って描いた倭画(やまとが)「児童学生安全祈願観音像図」(1962年)、書「汝我志磨(ながしま)」(72年)など、ふるさとへの強い愛情がにじむ作品が並ぶ。
展示を担当した棟方志功記念館の宮野春香学芸員は「普段は校内や市長室などにあり公開されていない作品も含め、今回は棟方の青森への感謝や愛情が色濃く感じられる作品に焦点を当てた」と解説。棟方の孫で棟方作品研究者の石井頼子さんは、19日の開会セレモニーで「棟方志功はいきなり“世界のムナカタ”になったのではなく、その過程には青森での姿がある。展覧会を通じて、棟方の故郷への愛を感じてもらえたらうれしい」と話した。
▼文人との交流示す品々/県近代文学館
県近代文学館は「棟方志功と青森の文人たち」と題して10月19日まで特別展を開催。文芸や美術など広く芸術分野に堪能な人物である文人たちと棟方との交流に関する資料約300点を通じ、棟方と文人相互の姿を浮き彫りにする展示となっている。
同館によると、近代は文芸と美術の境界が明確でなく、作家が絵を描き画家が文章を書くことは珍しくなかった。棟方自身も若い頃から文学が好きで随筆集も複数冊刊行しており、「僕は絵描きよりも文学者の方に友達が多いですよ」とも語っていたという。
特別展は(1)画家への道(2)志功と文学(3)志功と文人たち-の3章構成。青森市出身の児童文学作家・北畠八穂(やお)が発表した作品の挿絵原画や棟方最初の装丁本とみられる「星座圖(せいざず)第1巻第4号」など貴重な品々を見ることができるほか、棟方の装丁本に直接触れられるコーナーも設けている。
展示を担当した同館の柿崎星哉文学専門主査は「文人たちとの交流の資料を見てみると、棟方が先輩後輩問わず誰からも好かれていたことが分かる。没後50年を迎えた今年、あらためて棟方という人物を知ってほしい」と話した。
▼9月にサミット 七戸で特別展も
棟方志功ゆかりの地の首長らが集い、作品の魅力や文化芸術資源を活用したまちづくりなどについて話し合う「棟方志功サミット」も今年は生誕の地・青森市で開催。9月7日午前9時半から正午まで、県立美術館シアターで青森市や富山県南砺市、岡山県倉敷市など全国5自治体の関係者が集いイベントを行う。
七戸町の鷹山宇一記念美術館では9月13日から11月3日まで、上京前の棟方が洋画仲間と結成した「青光画社」の活動をたどる特別展「青森の光となれ! 青光画社展」を開催。中央での活躍を夢見た棟方と鷹山、松木満史、古藤正雄の4人の青春と画業にスポットを当てる。
▼作品ににじむ郷土愛/県立美術館
同市の県立美術館では、コレクション展内の特別企画として「青森の子 世界のムナカタ」(青森市教委などによる実行委員会主催)を11月3日まで開催中。棟方が母校の同市立長島小学校に贈った作品や関係資料など計約100点を展示している。
通常の棟方専用展示室の2倍の広さを使った記念展では、板画や油彩画、書など作品約60点、愛用品や文化勲章などの関連資料約40点を紹介。皿いっぱいに「AOMORI NO KO」の文字が躍る陶器の大皿や、長島小の創立記念で児童の安全を祈って描いた倭画(やまとが)「児童学生安全祈願観音像図」(1962年)、書「汝我志磨(ながしま)」(72年)など、ふるさとへの強い愛情がにじむ作品が並ぶ。
展示を担当した棟方志功記念館の宮野春香学芸員は「普段は校内や市長室などにあり公開されていない作品も含め、今回は棟方の青森への感謝や愛情が色濃く感じられる作品に焦点を当てた」と解説。棟方の孫で棟方作品研究者の石井頼子さんは、19日の開会セレモニーで「棟方志功はいきなり“世界のムナカタ”になったのではなく、その過程には青森での姿がある。展覧会を通じて、棟方の故郷への愛を感じてもらえたらうれしい」と話した。
▼文人との交流示す品々/県近代文学館
県近代文学館は「棟方志功と青森の文人たち」と題して10月19日まで特別展を開催。文芸や美術など広く芸術分野に堪能な人物である文人たちと棟方との交流に関する資料約300点を通じ、棟方と文人相互の姿を浮き彫りにする展示となっている。
同館によると、近代は文芸と美術の境界が明確でなく、作家が絵を描き画家が文章を書くことは珍しくなかった。棟方自身も若い頃から文学が好きで随筆集も複数冊刊行しており、「僕は絵描きよりも文学者の方に友達が多いですよ」とも語っていたという。
特別展は(1)画家への道(2)志功と文学(3)志功と文人たち-の3章構成。青森市出身の児童文学作家・北畠八穂(やお)が発表した作品の挿絵原画や棟方最初の装丁本とみられる「星座圖(せいざず)第1巻第4号」など貴重な品々を見ることができるほか、棟方の装丁本に直接触れられるコーナーも設けている。
展示を担当した同館の柿崎星哉文学専門主査は「文人たちとの交流の資料を見てみると、棟方が先輩後輩問わず誰からも好かれていたことが分かる。没後50年を迎えた今年、あらためて棟方という人物を知ってほしい」と話した。
▼9月にサミット 七戸で特別展も
棟方志功ゆかりの地の首長らが集い、作品の魅力や文化芸術資源を活用したまちづくりなどについて話し合う「棟方志功サミット」も今年は生誕の地・青森市で開催。9月7日午前9時半から正午まで、県立美術館シアターで青森市や富山県南砺市、岡山県倉敷市など全国5自治体の関係者が集いイベントを行う。
七戸町の鷹山宇一記念美術館では9月13日から11月3日まで、上京前の棟方が洋画仲間と結成した「青光画社」の活動をたどる特別展「青森の光となれ! 青光画社展」を開催。中央での活躍を夢見た棟方と鷹山、松木満史、古藤正雄の4人の青春と画業にスポットを当てる。


