狩猟と舞の共通文化で交流 13日、根子番楽とアイヌ舞踊共演

アイヌ古式舞踊(平取アイヌ文化保存会のフェイスブックより)
 ともに国重要無形民俗文化財に指定されている根子番楽(秋田県北秋田市阿仁根子)とアイヌ古式舞踊(北海道)の交流公演が、13日午後3時から北秋田市の根子番楽伝承館で開かれる。根子集落と北海道平取(びらとり)町の有志が「狩猟」と「伝統芸能」という共通文化を縁に4年前から親交を深め、初めて企画。「貴重な文化交流の機会で、多くの人たちに見てもらいたい」と話している。

 平取町は北海道の日高地方に位置し、アイヌ文化が色濃く残る地として知られる。アイヌ初の国会議員となった萱野茂氏(1926~2006年)の出身地でもあり、萱野氏が代表を務めた「平取アイヌ文化保存会」が、衣食住とアイヌ語など幅広い分野で文化継承活動を展開。アイヌ古式舞踊は84年に国重要無形民俗文化財、2009年にユネスコ無形文化遺産に登録された。

 根子集落はマタギ発祥の地とされ、定かでないものの源平合戦の遺臣が移り住んだと言われる。根子番楽は文学的に優れた歌詞と、室町期以前の古式を残す点が評価され、04年に国重要無形民俗文化財に指定された。現在は根子番楽保存会(佐藤頼秋会長)の会員を中心に、集落外からも舞い手が参加し受け継がれている。

 アイヌは長い歴史の中で独自の狩猟文化を発展させてきたが、わなや仕掛け弓など伝統猟法の多くが法規制でできなくなった。技術継承に危機感を覚えたアイヌの若手狩猟者と狩猟文化の研究者らが、課題解決に向けた仲間の輪を広げようと、根子集落でマタギとしても活動する写真家の船橋陽馬さん(43)を通じて21年から合同狩猟などの交流を始めた。

 その後も親交を続けるうち、両地域が狩猟だけでなく伝統芸能という共通項もあることから、一緒に取り組める事業として2保存会による交流公演を企画。10月には根子番楽保存会のメンバーが平取町を訪れる予定もあるという。

 公演会場の伝承館では、毎週水曜日に根子番楽保存会のメンバーが稽古で汗を流している。保存会事務局も務める船橋さんは「根子と平取は狩猟と郷土芸能という似通った文化があり、伝統をつないでいく思いは一緒。どちらの保存会も企画を快く引き受けてくれた」という。佐藤会長(67)は「せっかくの機会なので大半の演目を披露する予定。アイヌ舞踊も楽しみにしている」と話した。

 交流公演は入場無料。ただし、お花代を提供した場合は金額に応じた返礼品として、根子番楽保存会オリジナルの手ぬぐいをプレゼントする。公演は全部で2時間半ほどの予定。

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