弘前さくらまつりの風物詩・屋台アイス。まつり期間の弘前公園（青森県弘前市）には12店が出店し、多くが弘前らしさを前面に押し出した「りんごシャーベット」を販売している。しかし、一言にリンゴ味といっても、果肉や皮が入ったものもあり、味わいはさまざま。リンゴ味が主流の中、異色ともいえるパイナップル味を販売する店もある。盛り付けも、バラの形やドーム型など売り子の個性が出ている。

　追手門を入ってすぐの場所に屋台を構える金正藤田正紀商店（同市、藤田アイス店）の藤本レイ子社長（64）は今年新たに、フリーズドライにした紅玉の皮と、王林の実の粉末が入った2種類のアイスを売り出している。1段ずつ盛り付け、一度で二つの味を楽しめるようにしている。藤本社長は「紅玉はさっぱりしていて、王林は甘め。食べ比べを楽しんでもらえると思う」と話す。

　製造元でもある藤田アイス店は、多くの売り子に商品を卸している。藤本社長によると、全て同じというわけではなく、売り子の要望に応じて作っているアイスもあるという。

　その中の一つはリンゴの果肉入りで、秋元勝彦さん（66）が賀田橋付近と物産館前の2カ所で販売。小さく刻まれたリンゴが混ぜ込まれている。秋元さんは「果肉入りは園内でうちだけ」と胸を張る。

　北門近くに屋台を出している小山内冷菓店（同市）は園内で唯一のパイナップル味を提供。同店では50年以上前からパイナップル味のアイスを作っているが、3代目店主の小山内潔さんは「なぜパイン味なのかは分からない」と笑う。

　西堀で30年以上アイスを売っているという60代女性は、ディッシャー（アイスクリームを盛り付ける器具）を使った「カップ盛り」、ヘラを使った「ヘラ盛り」、ヘラでバラの花びらを作る「バラ盛り」の3種類の盛り方ができる。得意はヘラ盛りだと言い、一つ10秒もかからずに盛り付けてみせた。

　アイスは多くの店が一つ200円。天候や時間によっては営業していないアイス屋台もある。

▼はつ恋ぐりんさん　24日売り子に挑戦

　屋台アイスは、高齢化などで売り子が減少している。この現状を受け、さまざまな人に関心を持ってもらおうと、弘前市のアイドルグループりんご娘の「はつ恋ぐりん」さんが24日、弘前市の弘前公園追手門前で売り子に挑戦する。

　弘前さくらまつりでは、期間限定の売り子たちも出店するため屋台の数は増えるが、4～11月までの販売シーズンを通して屋台を出している人は市内で数人程度。弘前アイス組合の秋元勝彦組合長（66）は「もはや絶滅危惧種だ」と嘆く。

　売り子体験のイベントではつ恋ぐりんさんは、メロン味とリンゴ味のアイスの上に、アップルスナックとチョコをトッピングしたオリジナル商品を販売する。

　一つ400円で、販売時間は午前11時～午後3時。