カメラ千台、50年かけ収集 元報道カメラマン、鹿角の自宅に展示室

 秋田県鹿角市十和田大湯の元報道カメラマン畠山隆俊さん(72)が、約50年かけて収集したクラシックカメラを展示するコレクションルームを自宅に設けた。国内外のメーカーの機械式カメラなど約千台が並び、さながら専門店のような光景だ。見学も受け入れており、畠山さんは「県内の愛好家にも見てもらえたらうれしい」と話している。

 展示室にはニコン、キヤノン、オリンパス、ミノルタ、コニカ、ペンタックス、マミヤといった国産メーカーを中心に、ドイツの高級メーカー・ライカなどの往年の名機が所狭しと並ぶ。中には明治期(1868~1912年)のものとみられる湿板カメラや、戦時中に航空機へ搭載した機関銃を模した外観のムービーカメラ「写真銃」もある。

 畠山さんは大館市出身。大館鳳鳴高校を卒業後、大阪の専門学校で撮影技術を学び、中日新聞(名古屋市)のカメラマンとして活躍した。事件や事故の現場、五輪やプロ野球などのスポーツ、風景といった幅広い分野の撮影を手がけた。三重県四日市市で暮らしていたが、田舎暮らしを楽しもうと昨年7月に妻の実家がある鹿角にUターンした。

 クラシックカメラの収集は、仕事で収入が得られるようになった20歳ごろに始めた。幼少期から写真に興味を持ち、小学生時代に親から買ってもらった一眼レフカメラを持ち歩くようになった。その頃から愛読していた雑誌「アサヒカメラ」(2020年に休刊)で見た懐かしいベストセラー機種や、手が届かなかった憧れの名機に出会うと、買わずにいられなかったという。

 収集熱は年を追うごとに高まり、仕事で出張すると取材よりも先に中古カメラ店や古物商の店をのぞくようになった。欧州へ出張する時は最初にオーストリアのウィーンに入る行程を組んだ。ウィーンには中古カメラ店が多く、東欧や旧ソ連製のカメラも手に入りやすいからだ。

 コレクションは1台また1台と増え、気付けば1300台ほどに。「どこに隠していたのか、よく床が抜けなかった」と妻はあきれて笑うという。妻の実家に空き部屋があったことから、段ボール箱にしまっていたカメラをメーカーごとにガラスのショーケースに並べ、展示室を仕上げた。

 機械式カメラの魅力は「フィルムを巻き上げ、自分でピントや絞りを合わせるスローなところ。腕(撮影技術)の良しあしが如実に出る」と語る。さらに「壊れていても、自分で修理をして撮影可能な状態に戻すことも楽しみの一つ」と目を細める。

 ずらりと並ぶカメラを眺めながら、畠山さんは「一台一台に思い入れがあり、入手した時の思い出もある。県内ではめったにない規模と自負している。地元のカメラファンにもお見せしたい」と話している。

 見学希望者は事前連絡が必要。連絡先はTEL090・8736・0765(午前9時~午後4時)

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