古遠部の湯 残したい/常連、長井さん(仙台)継承 平川・碇ケ関

豊富な湯量を誇り、「トド寝」ができると人気を集めている

 豊富な湯量で「トド寝」ができる温泉として知られる青森県平川市碇ケ関地区の一軒宿「古遠部(ふるとおべ)温泉」。前経営者の高齢などの理由で一時廃業の話も出たが、同温泉のファンで何度も訪れていた仙台市の長井めぐみさんらが経営を引き継いだ。現在、日帰り入浴のほか、素泊まりも受け入れており、県内外から多くの入浴客や旅行者が訪れている。長井さんは「ここの温泉を残したいという気持ちただそれだけ。碇ケ関地区の活性化につなげられれば」と話している。

 同温泉は、秋田県との県境にほど近い山間部にたたずむ。鉱山の試掘調査で湧き出たという温泉は毎分500リットルの湯量を誇り、鉄分を含んだ赤みがかった湯が特徴。湯船からはお湯があふれ、床を流れる。床に寝そべり、流れるお湯に漬かる「トド寝」を楽しむことができるとして人気を集める。

 長井さんが初めて同温泉を訪れたのは2020年。以降、友人や親戚を連れて10回以上泊まりに来るほどお気に入りの温泉となり、常連客とも顔見知りとなった。

 前経営者は、体調不良などもあり今年に入り廃業を考えていたが、継続を望む声が多く寄せられたことから、後継者探しに乗り出した。そんな中、別荘や会社の保養所として利用したいと言っている人がいると長井さんは聞き、「他の人が買ってしまったら、自分が温泉に入れなくなってしまうのではないか。畑違いだが、自分がやろう」と手を挙げた。

 「地元の客を大事にしてほしい」という前経営者の思いもあり、面談を経て引き継ぐことが決まった。その際、湯守や男手が必要だと考え、知り合いの後藤正男さんを誘い、長井さんは代表、後藤さんが社長となり再出発した。

 7月中旬から温泉の仕事に関わるようになり、住まいがある仙台市と往復する生活が始まった。この4カ月を「夏は虫、暑さと格闘だった。やることも多くて…」と振り返り「冬を経験したことがないので、どうなるのだろうという思いがある」と不安ものぞかせる。それでも「楽しくやらせてもらっている。毎日来る人、東京から日帰りで来てくれる人もいる。温泉がなくならないで良かったと言ってもらえることが一番。長く続けていきたい」と前向きに笑顔で語った。

 日帰り入浴は午前8時~午後8時、12月からは午前9時から。大人400円。素泊まりは税込み6650円で、冬場は別途暖房費がかかる。

古遠部温泉を引き継いだ長井代表(左)と後藤社長

平川市

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