黒石の黄美香メロン 「食べにおいでよ!」第11回


 朝5時。「幻のメロン」といわれる「黄美香」の収穫を目掛け、黒石市の山間部、南中野地区へ。

 手元の気温計は19度。地区の生産者でつくる「黒石市メロン研究会」会長、工藤由人(なおと)さん(42)の畑は朝露にぬれていた。

 今年は開花時の低温や病気に弱い品種特性、害虫、猛暑、雨不足と続き、収穫間際は雨。「大変な年でしたけど、産地としての経験や先輩方のアドバイスもあり、苦労の末に収穫までこぎ着けたのはありがたい」

 黄美香は栽培が難しく、生産量が少ないため「幻」とされる。他方、見た目の美しさから「黄金のメロン」とも呼ばれ、優れた食味で引き合いも強く、市がブランド化を推進している。

 ところが、ピンチはほかにもあった。取引先が黄美香の種を供給できない事態となり、栽培を諦めるか、地区の生産者で話し合いが持たれた。工藤さんがつてを頼って何とか別業者から融通してもらったものの、数は約1200と例年の3割程度。少ない苗をさらに分け合って植えたという。

 迎えた収穫の日。畑に立つ工藤さんは1玉、1玉、胸に抱えるようにして、つるの形を整えていく。

 「今年はみんなの努力が詰まった、特に希少な黄美香となった。産地を絶やしたくはないですから」

■問い合わせは黒石市メロン研究会(事務局・市農林課 電話0172-52-2111)

【髙樋憲市長から】幻といわれる品種 芳醇な甘み
 黒石市は「りんごと米と温泉の田園観光産業都市」として親しまれ、重要伝統的建造物群保存地区の「中町こみせ通り」は、城下町の風情を残した街並みや建造物が高く評価されています。

 黒石ブランド南中野産メロン「黄美香」は、上質で芳醇(ほうじゅん)な甘みが特徴のメロンですが、栽培が難しく生産量も極めて少ないことから「幻のメロン」といわれるほど貴重な品種として知られています。

 8月17日に黄美香メロンや地元食材を活用したスイーツ等の即売会が行われますので、ぜひお越しください。

【さらにチェック】黒石産のメロンや野菜17日即売会
 旬を迎えた黒石市産の果物や野菜の即売会「フル・ベジ・フェス2025」が17日、黒石市産業会館で開かれる。希少な黄美香メロンをはじめ、高冷地栽培の野菜、地元農産物を使用したスイーツなど加工品を販売する。フローズンフルーツの試食会も実施。午前9時から午後3時まで。

 「黒石地域担い手育成総合支援協議会」が主催。メロンは箱売り、バラ売りを予定しているが、「津軽の桃」は予約注文のみの受け付けとなり、24日に商品引き渡しの予定。

日差しに輝く工藤さんの黄美香メロン。天気や病気など例年以上に苦労しながらも「何とか収穫までこぎ着けた」という=8月中旬、黒石市南中野地区

「黒石市メロン研究会」会長の工藤由人さん

髙樋憲市長

フル・ベジ・フェスの問い合わせは市農林課(電話0172-52-2111)

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