大震災で津波被害 朝市で営業続ける金物店

館鼻岸壁朝市の店の前に立つ三浦さん

 青森県八戸市の館鼻岸壁で毎週日曜朝に開かれている朝市に、金物店「みうら商店」が出店している。店主の三浦正芳さん(61)は、岸壁近くに構えていた店舗が12年半前の東日本大震災の津波で浸水、再開できず、今は朝市だけで営業する。「湊山手通り朝市」時代から含め朝市出店歴は30年以上。店に行列ができることは少ないが「可能な限り続けていきたい」と笑顔で来場者を迎える。

 「どうぞ手に取ってください」「分からないことは聞いてください」。朝市会場に三浦さんの声が響く。店頭には、さまざまな形状・材質の包丁や鎌、はさみ、ほうきなど約100点が並ぶ。包丁は外国人も興味深げに手に取る。

 三浦さんは八戸市生まれ。鮫中、八工大二高を卒業後、八戸市の船舶関連の作業用品店「ファイトマン商店」の従業員となった。20代後半の時、同市新湊3丁目に「みうら商店」を独立開業。漁業用の手袋、雑貨などを扱い、徐々に刃物の取り扱いを増やした。

 2011年3月11日。2日後に予定されていた館鼻岸壁朝市の準備のため、仕入れ品を車から店に入れている最中、大きな揺れに見舞われた。「ラジオをつけると大津波警報が出ていた。すぐ逃げなければと思った」。店舗の商品を車に積めるだけ積み、避難した。

 高台にある住居は無事だった。だが津波が収まった後に店舗を訪れ、言葉を失った。借りていた2階建て建物のうち、1階店舗の内部は泥まみれで、商品を廃棄せざるを得なかった。車1台は流された。

 館鼻岸壁も津波で複数の中型イカ釣り漁船が乗り上げ、朝市が開催できなくなった。「震災直後は途方に暮れた」。だが市内で開かれた代替の朝市と、4カ月遅れで7月に再開した館鼻朝市に出店。「店の再開は無理でも朝市への出店は続けることにした」と言う。

 三浦さんは、04年3月の館鼻岸壁朝市スタート当初からの出店者の一人。前身である湊山手通り朝市にも出店してきた。「朝市の来場者は30年前は水産関係者が目立ったが、徐々に市民が訪れるようになった。館鼻朝市が始まってからは飲食店が増え、県外客も来るようになった」と振り返る。

 現在は別の会社で働きながら、市場や水産加工場など顧客を回って刃物や雑貨などを販売している。要望を受け、持ち込まれた包丁を研ぐサービスも始めた。粗さの異なる3種類の砥石(といし)を使い、手で研ぐ。

 今月10日午前4時半。野菜コンテナの上に板を重ねて作った台に商品を次々と並べ、商品を紹介する手書きの紙30枚余りを手際よく張った。開店前だが、客が包丁研ぎを依頼しに来た。「震災、コロナ禍-。今後もどう商売が進むかは見通せない。でも前に進むことができれば」

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