三戸城跡 城郭考古学者が「国史跡に値」

三戸城の構造について解説する千田教授

 三戸城の歴史をひもとき、改めて価値を見つめ直す「三戸お城講座」が25日、青森県三戸町のジョイワーク三戸で開かれた。城を考古学の視点で究明する「城郭考古学者」の千田嘉博・奈良大教授が講演。町が目指す三戸城跡の国史跡指定について「十分値する」とお墨付きを与えた。

 千田教授は三戸と全国の有名城跡を写真で比較。16世紀末から17世紀初めにかけ、北東北最大の戦国大名・三戸南部氏が当時の最先端に当たる築城技術を取り入れ、本丸を中心とした階層的な城郭構造を実現させたと解説した。石垣についても、自然にある手つかずの石だけでなく、人工的に形を整えたものを進んで使っており「最新にこだわる(三戸南部氏の)強い思いが反映されている」と語った。

 三戸と近い九戸、盛岡城跡とも既に国史跡指定を受けているが「三戸城も同等の歴史的な価値がある」と指摘。一方で、集中豪雨などによって石垣が崩れる恐れを懸念し「国の補助金を使って直していくことも検討しなければ」と補修工事の必要性を訴えた。

 三戸城跡の国史跡指定について、千田教授は取材に「正確な測量書を完成させるほか、発掘を進める上で地権者の同意が何より不可欠」と強調。「『三戸城はすごい』と多くの人に理解してもらうのも大切」と、町主導による機運醸成も大きな鍵を握る-と力説した。

 講座は町制施行130周年を記念し町教育委員会が主催した。町内外から定員を超える約260人が詰め掛け、関心の高さをうかがわせた。

 講演の前には、三戸城について長年研究している町教委の野田尚志史跡対策班長が、これまで行われた城跡の発掘成果を発表した。

千田教授の講演に聴き入る町民ら

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