弘前の歴史語る掲示板、通りに設置

地元の歴史を分かりやすく伝える掲示板と工藤さん(左)、阿部さん

 青森県弘前市親方町に、道行く人々に弘前の歴史を分かりやすく解説する掲示板がある。歴史愛好団体・陸奥史談会会長の工藤哲彦さん(80)=同市小沢=と、建物の持ち主で叔父に当たる阿部紀昭さん(81)=横浜市戸塚区=が昨年8月に建てた。「ふるさとの心を彫る」をテーマに据え、張り紙作りにいそしむ工藤さんは「若い人たちに地元の歴史をもっと知ってほしい」と語る。

 10日、第4弾として新しい内容に入れ替えた。今回のテーマは「弘前」の地名の由来など。縦90センチ、幅60センチの紙2枚に大きな活字で解説した。毎回分かりやすい版画も添えている。

 掲示板はそば店などが入居する建物の壁面にある。縦3メートル、幅1メートル80センチほどのアルミ製で頑丈な作り。青森銀行弘前支店に面した通り沿いの建物がなくなったことで、陰に隠れていた壁があらわになったため、なんとかきれいに見せようと設置を思いついた。

 これまで2カ月に1度のペースで工藤さんが弘前城の秘密や民俗信仰の「津軽一代様」などを紹介する紙を張り出してきた。掲示板の設置代金は阿部さんが出した。阿部さんは「親方町のシンボルみたいになっていけば」と願う。

 工藤さんが会長を務める陸奥史談会は1913(大正2)年創設。初代会長は弘前藩最後の家老で第五十九国立銀行(現青森銀行)を創立した大道寺繁禎(しげよし)が務めた。現在は、会員十数人が弘前市の清水交流センターに月に1回集まり、歴史談議に花を咲かせている。

 工藤さんは「(江戸期以降の)津軽の街づくりや産業などを振り返る人は少なく、多くの人に歴史を知ってもらいたい」と話した。今後、弘前ねぷたやお山参詣などさまざまなテーマの張り紙を計画している。

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