写真家ハービー・山口さん、弘前の街撮影

モデルを務めた「ミス桜」の杉村さん(右)にポーズを伝える山口さん=1日午前、弘前市の藤田記念庭園

 著名アーティストや市井の人々を捉えたモノクロ作品で知られる写真家のハービー・山口さん(75)=東京=が5月31日と1日、青森県弘前市で歴史的建造物などをモチーフに撮影を行った。29日まで同市のシエントギャラリーで開かれている写真展に合わせて来県し、「写真の日」の1日は会場でギャラリートークを開催。「静かで落ち着きのある、すてきな街」と弘前の印象を語った。

 撮影は旧弘前図書館や旧陸軍第8師団長官舎、藤田記念庭園などで行われ、今年の「ミス桜」杉村名菜さん(21)ら8人がモデルを務めた。山口さんはアングルを探しながら「日が出てきたね」「横顔がいい」「人生のこつは?」と声をかけ、移ろう表情を捉えつつ撮影を続行。観光客や施設スタッフに声をかけ、急きょモデルを依頼する場面もあった。

 作品制作のきっかけは、同ギャラリー開設と写真展開催に協力したアートディレクターの田中廉也さん(69)=東京=から、市内に多くの歴史的建造物が残ると聞いたこと。来県に向け、建物と地元のユニークな人々を組み合わせるイメージを膨らませた。撮影は今後も行い、同市など国内外での写真展や写真集出版の構想もあるという。

 多くのファンが詰めかけたギャラリートークでは、ダイアナ元皇太子妃や坂本龍一さんら撮影した人物のエピソードと作品を示しながら「人を撮る最大のこつは光や構図ではなく、相手の『明日の幸せ』を祈ってシャッターを切ること」と強調。東奥日報の取材では、展示中の代表作「代官山17番地」を撮った同潤会代官山アパートメント(1996年解体)に触れ、「伝統的な建物は見失ってはいけない美しさがある。それが現存しているのは素晴らしいこと」と語った。

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 <ハービー・やまぐち 1950年、東京都生まれ。写真家を目指して73年から約10年間ロンドンに滞在し、デビュー前のボーイ・ジョージとルームシェアをするなど多くのミュージシャンと交流。人々に向けた優しいまなざしを伝える作品は多くのファンに愛される。エッセイストやラジオのパーソナリティーとしても活躍。日本写真芸術専門学校長>

写真家を志した頃の思いや撮影時の逸話など、興味深い話に多くのファンが聞き入ったギャラリートーク=1日午後、弘前市のシエントギャラリー

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