アバスさんの総菜店 三春屋から移転/八戸

本格的なインドネシア料理が並ぶ店内とアバスさん

 昨年4月に閉店した青森県八戸市の老舗百貨店・三春屋の地下で弁当や総菜を販売していた「エナック」を経営するインドネシア出身のアバスインサニ高橋さん(43)が12月12日、中心街に移転オープンした。八戸で商売を始めて15年。突然の三春屋閉店には困惑したが、再スタートから1カ月がたち「常連客などから『また食べられて良かった』と言われ、今は幸せ」と笑顔を見せている。

 アバスさんは日本で留学中に同市の歯科技工士・淳一さん(60)と出会い、2003年に結婚。04年に淳一さんと八戸で生活を始め、総菜店勤務などを経て08年に独立。三春屋地下の食品売り場に店を構えた。

 スパイシーなナシゴレン(炒めご飯)やカレーなど、現地の食材も使った本格的なインドネシア料理を提供し、徐々にファンを増やしていった。さらに、だし巻き卵など淳一さんの母親から学んだという和食も評判に。「年間売り上げが前年を下回ることは一度もなかった」という。

 しかし昨年春、三春屋が突如閉店。「ショックだったが、ここまで育ててくれた三春屋には感謝している」。店の継続は悩んだものの、常連客から再開の要望もあり、三春屋周辺で移転先を探した。家賃などの条件が合わず、難航した末に東北電力八戸営業所近くの同市堤町の空き店舗への出店が決まった。

 休業した8カ月間に一部の食材や食用油が高騰したが、値段は据え置いた。従業員を雇わず1人で店を切り盛りするため、オープン当初は朝4時から仕込みを始めた。そんな苦労もあったが、「なじみのお客さんから『再開して良かった』と言われるとやりがいを感じる」と話す。

 夫からは、三春屋閉店を契機にインドネシアで日本料理店を開く提案もあったという。「将来的にはその夢もあるが、私はまだ八戸で頑張りたい」とアバスさんは前を向いている。

 エナックの営業時間は午前10時~午後6時半。日曜・祝日は休み。

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