十和田湖遊覧船運航開始 客足回復に期待の声

今季の運航を開始した十和田湖遊覧船での周遊を楽しみ、桟橋を戻る乗客=29日、十和田市休屋地区

 十和田観光電鉄(青森県十和田市)の十和田湖遊覧船の今季の運航が29日、始まった。湖畔観光は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、遊覧船の乗船者数や宿泊客数がコロナ禍前の3分の1程度に落ち込んだ。新緑の行楽シーズンを迎え、湖畔観光に携わる事業者からは「国や県などの旅行割引キャンペーンを切れ目なくやってほしい」などの要望や、「(人の動きが出始めたので)連休にはお客さんが来てほしい」と期待する声が上がる。

 遊覧船第1便は29日午前8時45分に休屋を出発。乗客たちは地元住民らの見送りを受けて約50分のコースを楽しんだ。友人とともに鹿児島県から訪れた会社員田川早苗さん(55)は「のんびりできたし、雪と桜、松もきれいで良かった」と話した。

 遊覧船は例年4~11月に運航する。十和田観光電鉄によると、コロナ感染拡大が本格化する前の2019年度の乗船者数は10万8788人。このうち1万人程度がインバウンド(訪日客)だった。20年度は感染拡大を受けて運航開始が7月にずれ込んだこともあり、4万222人に減少。21年度は4月から運航したが、3万1197人にとどまった。

 十和田市の観光振興を担う十和田奥入瀬観光機構によると、機構の宿泊統計に協力している十和田湖畔の宇樽部、休屋両地区の10宿泊施設(20年のみ11施設)の宿泊客数は、19年は7万4909人、20年は3万2615人、21年は2万3680人と、2年間で3分の1程度に減った。国内からの宿泊客減少をインバウンドが補っていたが、コロナ禍でなくなったことや、ツアーの団体客が減ったことが響いた。

 こうした中、客足回復の弾みに-と湖畔の事業者が期待を寄せるのが、国や県などの観光支援事業。県は北海道・東北6県(福島県は5月9日から)を対象としたおでかけキャンペーンの期間を、連休を除き5月末まで延長した。一方、全国からの誘客が期待できる国の「Go To トラベル」は停止したままだ。

 休屋地区のホテル「十和田荘」の中村秀行社長は、おでかけキャンペーンの効果で個人客は来ていると言い、「国、県などのキャンペーンは、なるべく間を空けないように実施してほしい」と望む。同地区の食堂・売店の女性従業員は「地域に良いイメージを持ってもらうためにも店を開けないと。連休は新緑を楽しみに来てほしい」と期待する。

 同機構の小野田金司理事長は、割引キャンペーンはシニア世代の利用が多く、湖畔など交通の便がよくない場所にはあまり訪れない傾向があるとし、「交通手段がセットになった(旅行の)パックを割引するなどの工夫が必要だと思う」と指摘。湖畔の観光振興について「十和田湖の自然をはじめとした今ある資源を活用したコンテンツを作り、宿泊につなげることを考えていく」と話している。

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