三浦哲郎の直筆エッセー公開/弘前

弘前市立郷土文学館で展示されている三浦哲郎の直筆原稿「初心」

 青森県八戸市出身の芥川賞作家・三浦哲郎(みうら・てつお)(1931~2010年)が、芥川賞受賞に近い頃に執筆したとみられる直筆のエッセー原稿を弘前市立郷土文学館が発見し、1日からのスポット企画展「生誕90年 三浦哲郎展」で初めて公開した。「初心」の題で、400字詰めの原稿用紙5枚。発表誌紙は不明だが、三浦が生涯にわたって追求した問題の原点がつづられている。

 6人きょうだいの末弟に生まれた三浦は、兄姉4人が若くして自殺、失踪。「血」の問題を内に抱えながら文学の道を志し、1961年に小説「忍ぶ川」で青森県初の芥川賞を受賞した。

 弘前市と直接的なゆかりはないものの、葛西善蔵、太宰治ら私小説の系譜に連なる作家として、県南の作家で唯一、同文学館の資料収集対象とされている。

 「初心」の直筆原稿は、同文学館が2018年に県外の古書店で入手。本文は「私の姉の一人が、どうして私の誕生日を選んでその日に死んだか」という謎から書き起こされている。文中に「文筆生活に入ってから、もうそろそろ足掛け十年になる」とあることから、芥川賞受賞に近い1960年ごろの執筆と推定される。

 八戸ペンクラブの吉田徳壽会長によると、当時、八戸のタウン誌などが三浦の文筆活動を応援しようとよく原稿を依頼していたという。「単なるエッセーでなく、文学者を目指す匂いを強く感じる」と話した。

 企画展は11月29日まで。「初心」のほかに、代表的な作品のあらすじ、抜粋を紹介している。同文学館の櫛引洋一企画研究専門官は「自身の重い体験を叙情に昇華させる、文学の神髄を感じてほしい。節目の年に三浦文学に触れるきっかけになれば」と語った。

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