江戸の観光ガイドブックや道中日記、弘前で展示

関西から九州に至る瀬戸内海航路を記した「摂州従大坂到肥後海上道法図」。弘前藩の山鹿流兵学師範を勤めた貴田家が所蔵していた全国各地の絵図を明治時代に高照神社に奉納、市の文化財に指定されており、その数は約260点に上る=高岡の森弘前藩歴史館蔵

 青森県弘前市の高岡の森弘前藩歴史館で企画展「江戸の旅と観光」が開かれている。戦乱の時代が終わり、旅がより身近になった江戸時代。当時の観光ガイドブックや道中日記から、名所・名物を求める旅や寺社参詣の様子を紹介している。

 1860(万延元)年に写本された「諸国道中旅日記」では、財布や手ぬぐいから糸や針、耳かきにいたるまで、旅に持って行くべき物を詳細にアドバイスしているほか、朝早く起きて宿には早めに入ることなど、当時の旅の心得が記されている。

 吉田松陰が1852(嘉永5)年に弘前藩の儒学者伊東広之進(号梅軒)宅を訪ねた際の記述が残る「東北遊日記」、菅江真澄が1796(寛政8)年に百沢村(現弘前市百沢)に住む知人を訪問したことなどを記している「雪乃母呂太奇(ゆきのもろたき)」など、津軽ゆかりの文化人の残した旅の記録も並ぶ。

 旅が盛んになるにつれて、人々の地域や歴史に対する意識が深まるようになり、1859(安政6)年には津軽の画人平尾魯仙が藩内の景観を写した「合浦山水観」なども描かれた。学芸員の澁谷悠子さんは「当時、庶民にとっては一生に一度あるかないかだった旅ですが、その楽しさや苦労は昔も今も変わらないのでは。身近なテーマで歴史を楽しんで」と話している。

 企画展は3月22日まで(2月17日と3月16日は休館)。入館料は一般300円、高校・大学生150円、小・中学生100円。期間中、歴史講座(2月2日、3月15日)がある。申し込みや問い合わせは同歴史館(電話0172-83-3110)へ。

百田村(現弘前市百田)の勇助が津軽三十三霊場を巡礼した際の納経帳(1855年)。右が2番札所の清水観音(現弘前市桜庭、多賀神社)、左が3番札所の岩木山百澤寺(現弘前市百沢、廃寺)の御朱印=弘前図書館蔵

十返舎一九の「東海道中膝栗毛」を模倣して書かれた、津軽版の旅行記「奥州道中記」(1865年)。唐牛村(現大鰐町唐牛)の農家で酒を飲んでいる場面=弘前図書館蔵

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