作家田山花袋が弘前から妻に送ったはがきを公開

 「蒲団」「田舎教師」などの小説で知られる、作家田山花袋(1872~1930年)が、1903(明治36)年に弘前から妻に宛てて投函(とうかん)したはがき(群馬県館林市・田山花袋記念文学館蔵)が、弘前市立郷土文学館で12日から始まる、開館30周年記念の企画展「岩木山と文学」で初公開される。花袋の実弟が弘前とゆかりがあるなど、これまであまり光が当たることがなかった、わが国の自然主義文学を代表する作家と弘前との関わりを紹介する展示となる。

 花袋は1903年8月、弘前の陸軍第八師団に所属していた弟・富弥を訪問。富弥は不在だったが、投宿先の元寺町石場旅館でしたためたはがきには、在府町にある富弥の妻の実家でめいらと面会したことや、翌日に秋田の男鹿に出立することなどが記されている。

 地誌を書くための調査旅行の途次とみられ、後年、このときに見た岩木山を「長い裾を四方に引いて殆(ほとん)ど遯影(とんえい)(山を隠す影)がないと言つた形である」「山はすっかり晴れて、何処(どこ)も彼処(かしこ)も残るところなく見えた」「白い雲の靡(なび)いてゐるのも凡(なみ)でなかつた」(「日本一周 後編」)などと称賛している。

 花袋は1923(大正12)年夏にも妻を同伴して浅虫温泉、弘前、大鰐温泉を訪問。富弥は退役後、在府町に居住し、第五十九銀行(現青森銀行)、木村産業研究所(現弘前こぎん研究所)の仕事に携わっている。富弥や弘前のことは、小説「生」などでも描かれている。

 同文学館企画研究専門官の櫛引洋一さんは「今回あらためて調査して、花袋と弘前にはずいぶん深いかかわりがあったのだと再認識した」と話している。

 はがきは30日まで複製を、31日からは実物を展示する。中央文壇や地元の文人たちが描いた岩木山を貴重資料や写真などとともに紹介する、節目の年の通年企画展は12月28日まで。入館は一般100円、小中学生50円。市内の65歳以上と小中学生は無料。問い合わせは同文学館(電話0172-37-5505)へ。

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