津軽中里駅のおもてなし団体が活動中止へ

手作りの総菜、お菓子類と素朴な接客でなじみ客も多い金多豆蔵応援隊の会の駅ナカカフェ

 津軽鉄道の津軽中里駅(青森県中泊町)に隣接する「駅ナカにぎわい空間」で、ストーブ列車の乗降客らに温かい飲み物や手作りお菓子などを提供している「金多豆蔵(きんたまめじょ)応援隊の会」(松田喜久代代表)が、来年3月末で活動をやめることが分かった。会員の高齢化などが主な理由だが、同駅には他に売店や飲食店はなく、利用者からは「観光客のもてなしや、地元住民の憩いの場がなくなる」と惜しむ声が上がっている。

 同スペースは駅に隣接していたスーパーマーケットの空き店舗を利用したもので、津軽鉄道によると広さは約820平方メートル。県の事業を活用して内部を改修、2012年4月から観光客や住民が集うための駅ナカにぎわい空間として利用している。施設は津軽鉄道が所有、管理・運営は中泊町が事務局となって利用団体と管理運営委員会を組織して行っている。

 応援隊の会も加盟団体の一つ。入り口近くで駅ナカカフェを営業、温かいコーヒーや麺類を提供しているほか、手作りのあんこ餅やしとぎ餅などのお菓子、総菜類を手頃な値段で販売している。

 午前中は列車やバスを利用する住民が待ち合わせ時間を利用して昼食のおにぎり、総菜を買ったり、顔見知りの住民同士がコーヒーを飲んでくつろぐ。午後になると、ストーブ列車を利用した観光客が訪れ、手作りのお菓子や温かい飲み物で移動の疲れを癒やす。会員たちの津軽弁による素朴なおもてなしも好評だ。

 しかし、活動当初16人いた会員は、松田さん(70)と今本和子さん(67)、塚本鶴枝さん(75)、野上貴美子さん(67)、三上輝子さん(73)の5人になった。5人も家事や農作業、家族の病院への送り迎えなどを行っており、年齢とともに活動継続が難しくなったという。松田さんは「会員の平均年齢が70歳を超えた。やめないでという声も聞くが、会員みんなで今がしおどきかなと判断した」と事情を説明する。

 管理運営委員会は今後の対応を協議しているが、まだ結論は出ていない。事務局を務める町水産商工観光課の越野進一課長は「町は現在、総合的な観光戦略となる観光ビジョンの策定を進めている。駅ナカ空間も重要な拠点の一つ。応援隊の会のようなおもてなしができるように、年度内に方向性を示したい」と話す。

 ほぼ10年にわたって活動してきた松田さんは「会をやったおかげでたくさんの人との出会いがあった。大変なこともあった。勉強もさせてもらった。でも、今振り返ると楽しい思い出だけが残っている。最後の1日までみんなと一緒に頑張りたい」と活動の全うを約束した。

「最終日まで一生懸命頑張る」と話す金多豆蔵応援隊の会のメンバー

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