【連載うまい森・味めぐり】里山の実り三戸精品で

「百年紅玉」の完熟リンゴを搾ったジュースや「三戸SENBEI」を高級感たっぷりのデザインで包んだ三戸精品

 絵本「11ぴきのねこ」シリーズで知られる馬場のぼるさんの出身地で、町のいたるところに絵本に登場するねこの石像などが目に付く青森県三戸町。こうした地域活性化のイメージ戦略は食の分野でも進められ、地元のリンゴや加工品を全国、海外に発信する統一ブランド「三戸精品」が誕生した。

 商品開発や販売を手掛けるのが、今年1月に発足した地域商社「株式会社SANNOWA(さんのわ)」だ。町と都内の広告代理店が共同出資。古くて新しい城下町・三戸の誇りと里山の実りを世界に届ける-を合言葉に、人とモノの交流拡大事業に取り組んでいる。

 三戸精品で看板的な存在になっているのが「百年紅玉ジュース」。梅内地区の園地に、わずか20本だけが残る樹齢100年を超すリンゴ樹に実った完熟の紅玉を原料に、まろやかな甘味と酸味が楽しめると好評だ。このほか、ポリフェノールたっぷりのガマズミ飲料、ワインやチーズにも合う「三戸SENBEI(せんべい)」などがある。

 三戸産の紅玉は、四国の菓子店や大阪の調理師学校など県外の食のプロにも高く評価され、都内のイベントでも「生果は珍しい」と好反響だったという。同社で営業を担当する葛川智寛さんは「三戸精品はもちろんですが、さらにこれからは三戸町の1次産品の販路開拓にも力を入れていきたいですね」と話す。

▼「郷土料理、城下町巡りを」松尾和彦町長

 三戸地域のリンゴは生産量では津軽に及びませんが、寒暖差の大きさによる糖度の高さなど、優れた品質が自慢です。町内には樹齢100年を超す紅玉の古木もあり、リンゴ産地としてのストーリー性が感じられる加工品作りで販路を広げたいと考えています。

 粉もんの食文化が根付いた町だけに素朴な味わいの三戸せんべい、串もちなどが人気。冬にぴったりの郷土料理「ひっつみ」は、サケや鶏肉のほか川蟹(かわがに)(モクズガニ)のだしも楽しめます。

 「11ぴきのねこ」のまち三戸は、南部氏によって戦国時代に築かれた三戸城跡を中心とした城下町です。桜の名所・城山公園で御城印を手に入れ、旧会津藩ゆかりの白虎隊供養碑などを巡るのもお薦めです。

▼猫キャラ御朱印帳が人気/会津ゆかりの三戸大神宮

 三戸町同心町にある三戸大神宮は元亀元(1570)年創建と伝えられ、南部藩主によって手厚く保護されてきた。戊辰戦争に敗れ三戸へ移った旧会津藩士ゆかりの石碑「杉原凱(すぎはらがい)先生之墓」などがあり、訪れる歴史ファンも多い。

 「東北のお伊勢様」として崇敬を集めるほか、最近は神社のマスコット猫キャラ「みこにゃん」と「キャサリン」をデザインした御朱印帳が若い女性にも人気。問い合わせは三戸大神宮(電話0179-22-2501)へ。

松尾和彦町長

社殿へ続く石畳が厳粛な雰囲気を漂わせる三戸大神宮

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