弘前・名曲喫茶「ひまわり」、家族で切り盛り60周年

「昔はクラシックを聴きにくるお客さんが隣の店の前まで並んでいた」と話す千壽子さん

 青森県弘前市の中土手町、通りから小路に入ると、ひまわりをモチーフにしたレトロな看板が目に入る。弘前市坂本町の名曲喫茶「名曲&珈琲ひまわり」だ。クラシック音楽とコーヒーを楽しんでもらうという、開店当時から変わらぬスタイルを家族で守り、地域の人々に愛されてきた同店は17日、開店60周年を迎える。創業者の妻・三上千壽子さん(76)は「これからも今まで通りに店を続けられたら」と笑顔を見せる。

 1959年に千壽子さんの夫・登さん(故人)が開店して以来、店構えはほとんど変わっていない。開店当時は高性能のステレオ機材を使い、登さんが自ら東京や仙台で買ってきたクラシックのレコードを流した。窓際の席には差し込み口があり、ヘッドホンをつないでより鮮明な音でクラシックを聴くことができた。数少ない“特別席”を求めて訪れる客もいたという。千壽子さんは「お父さんは機材やレコードにとてもこだわっていた。ステレオの一部は今も使っている」と話す。

 高校生のころから同店に通っているという同市の山内春子さん(72)は「当時は今みたいに演奏会もないしレコードは高価で何枚も買えるものじゃなかった。ひまわりに行くと必ずクラシックが聴けるから、みんな行っていた」と話した。

 音楽家や画家など、文化人が集う同店では、個展やコンサートがたびたび開かれた。回数は減ったものの、現在も年に数回開いているという。同店で個展やグループ展を開いてきた同市の日本画家松原峰子さん(84)は「ひまわりでは文化人同士の交流がある。音楽が流れ、落ち着ける雰囲気にひかれて、みんな集まっていると思う」。

 2007年に登さんが亡くなってから千壽子さんが切り盛りしていたが、09年に息子の圭介さん(46)が東京からUターン。圭介さんは料理などの勉強を一から始め、人気メニューのナポリタンなどの提供を始めた。「母が1人で店をやるのは大変だと思い、戻ってきた。お客さんや仕入れ先など、周りの環境に合わせて10年やってきた」と語る。千壽子さんは「戻ってきたおかげで店を続けられた。息子には感謝しています」と振り返った。

 席の配置や調度品は変わっているものの、店内には創業当時の面影が残る。同市で学生時代を過ごした人が青春時代を懐かしんで訪ねてくることも多い。千壽子さんは「弘前に帰ってきた時『ひまわり』がないと寂しい、続けてほしいと皆さん言ってくれる。数十年ぶりに店に来てくれる人がいると、うれしくてやっていてよかったと思う」と目を細めた。

以前使われていた、店内に流れているレコードを表すボード

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