
青森県三沢市ゆかりの劇作家・寺山修司(1935~83年)が残した唯一の長編小説「あゝ、荒野」が雑誌連載の60年後の今、84歳の漫画家バロン吉元さんによってウェブ連載されている。三沢市の寺山修司記念館は企画展として原画展を開催中で、同館学芸員の広瀬有紀さん(35)は「寺山による60年代の新宿のルポルタージュ的作品。漫画での魅力を生原稿で実感してほしい」と話している。
寺山の「あゝ、荒野」は、高度経済成長の喧噪(けんそう)に包まれていた60年代の新宿を舞台に、ボクサーを目指す若者2人と周囲の人々の生きる姿を描いた作品。64~65年に雑誌連載、2017年には菅田将暉さんらの主演で映画化された。
広瀬さんによると、寺山は編集者とともに新宿の人々を取材し、登場人物に昇華させながら連載を書き進めた。「結末を決めずに書かれた、ライブ感を大事にした小説。寺山は『モダンジャズの手法で作った』と説明している」と話す。
吉元さんは60年代劇画ブームの立役者の一人で、20年ぶりの連載となる。5月には単行本1巻が発売され、あとがきでは「60年代の新宿が恐ろしくも愛(いと)おしい。『あゝ、荒野』は私の魂を60年代に引き戻してくれた魔界へのダイナマイトだったのだ」と書いている。
14日に行われた広瀬さんのギャラリートークでは、吉元さんが今は見られない「新宿荒野」をもう一度よみがえらせたい-という思いで描いていることや、筆ペンを使い、アシスタントをつけずに1カ月で50ページ描き上げていることなどを紹介。「漫画では主人公の一人『バリカン』のキャラが膨らんできて、原作と読み比べると違う味わいがある」と話していた。
連載は24年にウェブ漫画「コミプレ」で開始。原画展の前期(ラウンド1)は11月24日まで。10月12、13の両日には吉元さんと娘のエ☆ミリー吉元さんによるライブペイント&トークショーが開かれる。後期(ラウンド2)は26年1月4日~5月31日。入館料は大人550円、高校・大学生110円、小・中学生60円。月曜休館。
◇
<ばろん・よしもと 1940年、旧満州出身、鹿児島県指宿市育ち。59年にデビューし「ゴルゴ13」のさいとう・たかをらと劇画ブームの全盛期を築いた。代表作は「柔侠伝」シリーズ。80年に渡米しマーベル・コミックなどで執筆、近年は画家として活動。2019年に日本漫画家協会賞文部科学大臣賞を受賞>
寺山の「あゝ、荒野」は、高度経済成長の喧噪(けんそう)に包まれていた60年代の新宿を舞台に、ボクサーを目指す若者2人と周囲の人々の生きる姿を描いた作品。64~65年に雑誌連載、2017年には菅田将暉さんらの主演で映画化された。
広瀬さんによると、寺山は編集者とともに新宿の人々を取材し、登場人物に昇華させながら連載を書き進めた。「結末を決めずに書かれた、ライブ感を大事にした小説。寺山は『モダンジャズの手法で作った』と説明している」と話す。
吉元さんは60年代劇画ブームの立役者の一人で、20年ぶりの連載となる。5月には単行本1巻が発売され、あとがきでは「60年代の新宿が恐ろしくも愛(いと)おしい。『あゝ、荒野』は私の魂を60年代に引き戻してくれた魔界へのダイナマイトだったのだ」と書いている。
14日に行われた広瀬さんのギャラリートークでは、吉元さんが今は見られない「新宿荒野」をもう一度よみがえらせたい-という思いで描いていることや、筆ペンを使い、アシスタントをつけずに1カ月で50ページ描き上げていることなどを紹介。「漫画では主人公の一人『バリカン』のキャラが膨らんできて、原作と読み比べると違う味わいがある」と話していた。
連載は24年にウェブ漫画「コミプレ」で開始。原画展の前期(ラウンド1)は11月24日まで。10月12、13の両日には吉元さんと娘のエ☆ミリー吉元さんによるライブペイント&トークショーが開かれる。後期(ラウンド2)は26年1月4日~5月31日。入館料は大人550円、高校・大学生110円、小・中学生60円。月曜休館。
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<ばろん・よしもと 1940年、旧満州出身、鹿児島県指宿市育ち。59年にデビューし「ゴルゴ13」のさいとう・たかをらと劇画ブームの全盛期を築いた。代表作は「柔侠伝」シリーズ。80年に渡米しマーベル・コミックなどで執筆、近年は画家として活動。2019年に日本漫画家協会賞文部科学大臣賞を受賞>