弘前城本丸の石垣積み直し作業が終盤に

最終年度を迎えた石垣の改修工事が行われている弘前城本丸周辺

 2017年度から始まった青森県の弘前城本丸の石垣修復工事は現在、一度解体した石の本積みが行われるなど作業が終盤に入っている。23日は、天守が本来載る南東部分で、クレーンを使って積み直した石を石工たちが手作業で角度と位置を微調整していた。12月末までに全ての石を積み、修復を終える。

 工事は本丸東面の石垣が膨らんだり傾いたりして地震で崩落する危険性があったため、計2185個の石を解体して積み直す形で実施。昨年度までに1636個を積み直し、5月から作業が始まった本年度は、残る549個の石を積む。

 「石の加工」「仮積み」「本積み」からなる本年度の作業のうち、現在は石の位置を確定して固定する本積みを行っている。クレーンで積み上げた石を、石工たちが解体前の石垣の写真を見ながらバールなどで石のかみ合わせを調整。江戸時代の石垣の勾配を再現したガイド棒に従い、天守下の石垣が美しい曲線を描くように積み上げている。

 積み直しに並行し、天守を支える長さ35メートル、直径約2メートルの鉄筋コンクリート製くいを石垣の中に通す工事も進む。くいは直径2.5メートルの筒の中に通すことで周囲の土や石垣から浮いた状態にし、地震発生時にくいと石垣と天守が一緒に揺れることを防ぐ。市は来年度、仮の天守台に鎮座する天守の本格的な耐震工事を行い、26年度に天守を本来の場所に引き戻す。

 市公園緑地課の福井流星主査は「天守台の下は石の大きさがバラバラのため、美しく積み上げるのが難しく、石工さんたちの腕の見せどころ。今年で最後なので、日々変わる石垣の姿と、石工さんの技術を間近で見てほしい」と話した。

クレーン車で石を移動させた後、石工が手作業で位置や角度を調整して進められている石垣の積み直し作業=23日午後、弘前公園

弘前市

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