新たな版画展デジタルもOK、11月青森で

自作の版画作品を手に、新たな公募展「あおもり版画&PRINT」をアピールする実行委の竹林さん(右)と服部さん

 版画のともしびを次代につなぎたい-。世界的板画家の棟方志功(1903~75年)を生んだ「版画のまち」として知られる青森市で11月1~4日、デジタル技術で作成したプリントアートや落款印を押した絵画など版画の定義を最大限まで広げた新機軸の公募展「あおもり版画&PRINT(プリント)」が開かれる見通しとなった。同市のアーティストらが実行委員会を立ち上げて準備を進めており、関係者は「従来の版画のイメージを変え、若い人が気軽に参加できるような作品展にしたい」と意気込む。

 実行委を立ち上げたのは、2013年から23年まで毎年同市で開かれていた公募展「版画を楽しむ仲間たち」の関係者ら。高齢化で版画人口が減少の一途をたどる現状に危機感を抱いたベテラン版画家の竹林嘉子さんを代表に、デザイナーや造形作家ら多彩なジャンルの10人が名を連ねる。

 「佐藤米次郎さんや福井平内(へいない)さんら上の世代の版画家たちが努力してつないだ版画の魅力を次の世代に伝えていくためには、従来の価値観にとらわれない新しい版画が生まれることも必要」と竹林さん。新たな公募展では版画歴、居住地、年齢は問わず、応募作品も従来の木版画や銅版画に加え、パソコンで作成したプリントアート、バッグなどの手芸品にワンポイントでプリントアートを添えたものなども可とした。竹林さんは「ハードルを下げることで、若い人の感性を大事にしたい。少しでも版画に興味があれば、ぜひ応募してほしい」と呼びかける。

 ロゴマークには、より多くの人に自由な感性で版画を楽しんでもらいながら、独自の版画文化を育もうという願いを込め、アルファベットで「AOMORI HANGA」と表記。棟方志功の作品のような力強さをまとうように青い鳥とピンクの花びらが集まり、リンゴの形になっている。

 今後はロゴマークをあしらったTシャツ、バッグ、缶バッジなどのグッズも作成する予定。実行委副代表を務める造形作家の服部佳彦さん(35)は「次の世代に版画を伝えたいという竹林さんの思いに共感した。若手アーティストの一人として、幅広い年代の人たちに参加してもらえるよう頑張る」と意気込む。

 公募展は11月1~4日、JR青森駅東口ビル4階・青森市民美術展示館で開催。作品の募集は7月1日から8月31日までで、参加料は一般が1~5点で3千~8千円(点数により異なる)、高校生以下は無料。8月24、25日にはアピオあおもりで、小学3年生以上を対象としたワークショップを開く。問い合わせは実行委事務局(aomorihangaandprint@gmail.com)へ。

青い鳥とピンクの花びらが集まり、リンゴの形になっているロゴマーク。独自の版画文化を育もうという願いを込め、「AOMORI HANGA」と表記した

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