第1回キリスト祭、開催は「東京五輪きっかけ」/新郷、6月2日に第60回

第1回に出席した須藤さんとその時、出席者に配った手拭いの復刻版(本物は須藤さんが保管)

 青森県新郷村戸来のキリストの里公園で6月2日、第60回「キリスト祭(まつり)」が開かれる。1964(昭和39)年の第1回の出席者は少なくなり、資料もほとんどない。出席した前村長の須藤良美さん(84)は「きっかけは東京オリンピック。やっていいものか戸惑いながら、手探りで始めた。村民が協力して60回続いた祭りだから、村の宝として、これからも開催してほしい」と語る。

 同村は、キリストがひそかに日本に渡り、天寿を全うした場所とされ、キリストの墓という「十来(とらい)塚」もある。第1回キリスト祭の前年、63年7月26日付東奥日報が掲載した十来塚付近の写真には、十字架(現在と少し位置が違う)と南鉄バスが建てた「キリストの墓」の説明板が写る。

 第1回の資料は役場にもなく、須藤さんが保管する記念の手拭いに「キリストまつり 昭和39年6月7日 新郷村観光協会」とあることから、この日が開催日とみられる。

 64年は、10月に東京五輪があり、日本中が熱気に包まれていた。須藤さんは役場職員3年目の24歳。「新郷にも世界に知らせるロマンがあると、開催の機運が自然に盛り上がった。宣伝をしたわけでもなく、祭りというより、ただの集まりのようなもの。『ナニャドヤラ』も踊らなかった」

 さらに「出席したら神事があり『キリストの祭りに神主が来た』と思わず笑った。その後、参加者はバスに乗ってタケノコとワラビを採りに行き、酒を飲んで楽しい一日だった」と当日を思い出す。

 開催の主導者については「分からない」と話し、同公園を管理する村ふるさと活性化公社の角岸秀伸事務局長(54)は「いろいろな人に聞いたところ、三嶽神社の細川多門宮司が主導したようだ。運営は商工会長と観光協会長を長く務めた下栃棚留吉さんたちが担った」と見る。

 そもそも村にキリスト教の信者はいなかった。祭りが還暦を迎えたことに、須藤さんは「小さな村が何とか観光の目玉にしようとキリスト伝説を守ってきた。私は素晴らしいことだと思う」と胸を張った。

 今年のキリスト祭は6月2日午前10時、キリスト慰霊祭を実施。同11時に60周年記念で県南地方・岩手県北地方のナニャドヤラ4団体がそれぞれの踊りを披露する。また、ナニャドヤラ踊り体験会と食の祭典も開く。

第1回キリスト祭の前年、1963年7月26日付東奥日報に掲載した「キリストの墓」周辺の写真

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