鯵ケ沢・光信公の館、もうすぐボタン見ごろ

ボタンが間もなく見ごろを迎える光信公の館=15日

 青森県鯵ケ沢町の国史跡・種里城跡にある歴史資料館「光信公の館」で名物のボタンが間もなく見ごろを迎える。開花に合わせ、5年ぶりに17~26日を連日開館期間に設定する。近年の生育不良に加えコロナ禍もあり、町教育委員会は2020年から、開花告知や連日開館期間の設定、イベント開催を見送ってきた経緯がある。生育回復に努めたものの、花はかつての迫力にはほど遠いが、町教委の担当者は「ゆかりとともに楽しんで」と話している。

 光信公の館のボタンは、津軽家家紋の「杏葉牡丹(ぎょうようぼたん)」にちなみ、1990年の光信公入部500年祭の際に集まった浄財を基にして500本を植樹。最盛期の2001年には園地を拡張し千本ほどとなった。

 近年は生育不良が続き、町教委が弘前大学や造園業者の助言も得て、16年ごろから土壌改良などを試してきたが、回復は難しいのが現状。ボタンそのものの寿命や近年の猛暑による影響のほか、サルが出没し膨らむ前のつぼみをかじったり枝を折ったりする被害も大きいとみられ、22年には400本程度にまで減少していた。

 日よけの設置なども試したが、国史跡内では現状の変更が制限されることから、全面的復旧は断念。育ちの悪い株を伐採して園地を整理し、現在は約350本に規模を縮小した。館内での鉢植えでの展示も活用して、津軽家家紋にちなんだ歴史性を伝える案内板を整備するなど、新たな方向性も模索している。

 町教委の中田書矢総括学芸員は「ボタンの鑑賞を目的に来るとがっかりするかもしれないが、光信公や津軽家とのゆかりを歴史とともに伝えていきたい。もちろん(回復の)対策は取っていくが、長い目で温かく見守ってほしい」と話している。

 25日は入館無料とし、午後1時半から、弘前大の瀧本壽史特任教授が「県内所在の蝦夷錦・アイヌ衣服と本州アイヌとの関わり」と題して歴史トークを行う。昼食時には駐車場売店で赤石水産漁協女性部が軽食などを販売する。

 同館は原則、10月末までの金土日曜、祝日に開館(有料)。ボタン園散策は自由。問い合わせは同館(電話0173-79-2535)へ。

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