ストリートピアノと寄贈者 20年ぶり対面

立佞武多の館に置かれた懐かしのピアノに触れる(左から)葛西まつさんと、次女の葛西千秋さん、三女の佐々木瑞恵さん

 青森県五所川原市の「立佞武多(たちねぷた)の館」に今月お目見えしたストリートピアノ。そのピアノのかつての持ち主である同市の元小学校教諭・葛西まつさん(97)が12日、同館を訪れ、懐かしの鍵盤と20年ぶりに対面した。葛西さんは「うれしい。何よりピアノ自身が喜んでいると思う」と感激した様子で語り、多くの来館者に弾いてもらうことを願っていた。

 ピアノは長らく同館で保管されていたが、今月から1階ロビーに移され、立ち寄った人が気軽に弾くことができるストリートピアノとなった。初日の1日にはジャズコンサートも開かれている。

 葛西さんは1965年、「子どもたちのために」とヤマハのアップライトピアノを購入。自宅に置かれ、次女の千秋さん(67)=同市=ら姉妹3人が弾いていた。子どもたちが大きくなり、家を建て替えることになったのを機に、葛西さんは2003年、面識のあった佐々木基一さん(64)=立佞武多の館現館長=にピアノを寄贈。その後は館内の倉庫で保管されてきた。

 千秋さんと三女の佐々木瑞恵さん(64)=同市=と一緒に同館を訪れた葛西さんは「ストリートピアノになると聞き、びっくりするとともに、うれしかった。どうしているかな…と思っていたけど、こんなに立派になっているとは思わなかった」と目を輝かせ、「こんな広い所で自由に弾けるというのは素晴らしいこと。みんなに弾いてほしい」と語った。

 千秋さんも「懐かしい。もう見られると思っていなかったので、今も良い音が出ると聞いた時はうれしかった」と笑顔。佐々木館長は「湿気の少ない館内の倉庫で保管してきたので、楽器の状態は非常に良い。弾いた方からも『すごく良い音がする』と言ってもらっている。大切に使っていきたい」と話した。

五所川原市

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