東公園のさくらまつり 今年で100年/黒石

黒石の桜の名所東公園。花見が始まって今年で100年となった(2022年4月23日、本社小型無人機から撮影)

 青森県黒石市の桜の名所・東(あずま)公園で1923(大正12)年に初めて花見が催されて今年でちょうど100年になる。地域のリンゴ産業の先駆けだった西谷彦太郎(1867~1948年)が私財を投じて植樹したのが「さくら山」の愛称で今も親しまれる公園の起源。今年も15日から30日まで「黒石さくらまつり」が開かれる。黒石観光協会は8日、開花を宣言した。

 東公園は黒石市東部の市街地にほど近い、浅瀬石川沿いの段丘の傾斜地を含む一帯にある。「黒石市史」(1988年)などによると、西谷はこの眺望に着目。04(明治37)年の日露戦争開戦記念に、埼玉県安行村から取り寄せたソメイヨシノの苗木105本を植樹したのが始まりだった。以降も桜のみならずさまざまな植物を植えながら道路も造成して整備を進め、当時の黒石町石名坂石法師の地名を冠して「石法師遊園地」と称した。

 遊園地は徐々に当時の黒石町民の関心を呼ぶようになり、22(大正11)年に町の有志が寄付した10個の電灯で夜桜を行うと、昼夜問わず屋台が出るほどの大盛況に。翌23年には正式な「観桜会」が催され、100人余りがうたげを楽しんだ。記録によると主催は「黒石保勝会」または「東公園保勝会」となっており、これが「東公園」の呼称の始まりだったとみられている。

 観桜会は37(昭和12)年、戦時体制により中止されたが終戦後の46(同21)年に復活。昭和30年代に入ると公園は一時荒廃し観桜会も再び中断したが、市が78(同53)年から公園の環境整備事業に着手し、花見も間もなく復活。今年で37回目となる。

 黒石観光協会の野呂淳一専務理事は「あらためて100年の歴史を感じる」と言う。「20~30年前は夜まで人で埋め尽くされて警察や救急がしょっちゅう出動していたぐらいだったが、近年では宴会も少なくなった」と言うが、今年は新型コロナウイルスによる飲食の規制が緩和され、恒例のバーベキュー(火気使用許可)が4年ぶりに復活する(会期中午前9時~午後4時、指定区域のみ)ため、入り込みに期待がかかる。

 現在では7.5ヘクタールの敷地に、ソメイヨシノ、オオヤマザクラなど50種、約650本の桜が植えられている。「黒石で桜といえばさくら山。祖父母の代からだし、子どもの頃から」。野呂さんは市民の思いを代弁する。

 黒石さくらまつりの主なイベントは次の通り。

 ◇22日▽前11・0 Y-ROCKさくらLIVE

 ◇23日▽前11・0 津軽民謡ショー(千葉勝弘社中)▽後0・30 バルーンアートショー(ふうせんや さとら)

 ◇29日▽前10・0 ストラックアウト、射的など▽前11・0 歌謡曲ダンスショー(AOMORI花嵐桜組)▽後0・30 バルーンアートショー▽後2・0 よさこい演舞

西谷彦太郎 本業の呉服店の苦境をきっかけに、1893(明治26)年を皮切りに山間の採草地にリンゴ園を次々と造成した草分け的存在。1900(同33)年には「共産社」を起こしリンゴ共販の先駆けとなった。ボルドー液の使用や袋かけ技術の導入、樹形の考案やウラジオストクへの輸出などを手がけ、青森県のリンゴ発達史上欠くべからざる人物だった。

往時の東公園の花見風景(年代不明、「黒石市史」より)


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