コロナ禍耐え夢再び 鳥居さん、レトロゲーム店移転再開/十和田

「昭和当時のゲームを遊べる店はどんどんなくなっているので、ゲームが動く状態を維持していきたい」と話す鳥居さん

 青森県十和田市の中心街に、昭和の風情漂うゲームセンターがオープンした。古い空き店舗を改装した店内に、ブラウン管を使った往時の業務用ゲーム機が約30台並ぶ。新型コロナウイルスの影響を受けて旧店舗の閉店を余儀なくされた店主の鳥居秀憲さん(51)が、継続を望むファンの声を受けて約1年半かけて移転、再開した。4月からは平日も営業することにしており「レトロな空間でゲームを楽しんでくれる人が増えれば」と話す。

 鳥居さんはゲーム好きが高じて1985~90年ごろに人気を博したゲームを中心に筐体(きょうたい)(外箱)やソフトを収集。2019年4月、同市内に「レトロゲーム秘密基地」を開店した。しかし、コロナ禍などのため21年5月に閉店。密を避けることなどを目指し、クラウドファンディングで得た資金を元手に、より広い店舗への移転作業を進めていた。

 同市稲生町の国道102号沿いに構えた新店舗は、広さが200平方メートル以上あり旧店舗の4、5倍に。ゲーム機は以前の9台から3倍に増やした。テーブル型や「アストロシティ」タイプの筐体を広めのスペースを取って配置。「エンデューロレーサー」などの体感型ゲームも充実させた。約130タイトルあるソフトを入れ替えながら使用する。

 クラウドファンディングでは300万円余りの資金が集まったが「廃虚同然だった」空き店舗の改修にはそれ以上の費用がかかり、金融機関から融資を受けた。思った以上の時間もかかったが「何とか形にできた」段階という。

 飲食スペースも設けて22年9月に3日間限定で仮オープン。同年12月半ばに正式に開店した。現在は土・日曜日と祝日のみ営業しているが、4月からは平日も店を開ける(火・水曜日定休)。懐かしの駄菓子コーナーもあり、将来的には、店舗2階に個人用の貸しスペースも設ける計画だ。

 「弟と母は、震災を知りません。父はコロナ禍を知りません」。ブログにそうつづる鳥居さんは、病気で家族を相次いで失ったことが、ゲームセンターを始めるきっかけになった。1人になった父が心配で仕事を辞めて、10年に東京からUターン。その5年後に父も他界した。自身の死も意識するようになり、人生で一番やりたいことを真っ先にやることにした。

 新店舗の周辺には昨年、公共交通の拠点「まちなか交通広場」や市地域交流センター「とわふる」などができた。一帯の風情は時代とともに変わったが、かつてはデパートが2軒あり、鳥居さんが子どもの頃に住んでいた五戸町から母に連れられて買い物に来た「特別な日」の場所だ。

 「思い出の一角に店を構えることは感慨深い」と鳥居さん。もうかるなどとは思っていないが、大好きなゲームセンターづくりに2度挑戦できたことを幸せに感じている。「正式オープンの時、第1号のお客さんは神奈川から来た男性だった。ゲームセンターは遊ぶ人がいて完成する空間。お客さんと一緒に店をつくっていきたい」

国道102号沿いに移転し再開した「レトロゲーム秘密基地」。アーケードの向こう側に市地域交流センターがある

十和田市

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