青函トンネル記念館 ケーブルカー運行危機

地底の坑道へと案内するケーブルカー。整備費の工面が難しく、新年度の運行が危ぶまれている(青函トンネル記念館提供)

 青森県外ケ浜町三厩の「青函トンネル記念館」(工藤幸治館長)が運営するケーブルカーの運行継続が危ぶまれている。新型コロナウイルス禍などによる観光客減少で営業収益が落ち込み、車両整備費の工面が難しくなっているためだ。安全運行には整備が欠かせず、休止になれば竜飛崎周辺の観光にも影響を与えかねない。記念館は整備費確保のため、2月からクラウドファンディング(CF)を通じた支援を求める。

 ケーブルカーは記念館隣接の「青函トンネル記念館駅」と海面下140メートルにある「体験坑道駅」を結んでおり、斜度14度の斜坑を約7分かけて運行。世紀の大事業といわれる青函トンネル工事を紹介するパネルや工事道具を見学しながら作業坑を散策できる、記念館の目玉コースとなっている。1988年7月の開業から2022年度営業終了日の昨年11月7日までに、約135万人を乗せてきた。

 鉄道事業法に基づき運行されるケーブルカーは事業者に車両整備が義務付けられており、記念館は毎年4月下旬の営業開始前に実施。今年は解体を伴う定期検査を控えている上に、部品交換やレール修理も必要なため、約1千万円の出費が見込まれている。

 記念館は定期検査に備え、入館料や乗車料、レストラン・売店事業の営業収益の中から整備費を蓄えているが、長引くコロナ禍に加え、昨夏からの津軽線運休で観光客が激減。22年度の入館者数(22年4月22日~11月7日)は約1万9千人と、感染拡大前の19年度の約6割にとどまり、これに比例して営業収益も落ち込んだ。整備による安全性が保証されなければ、所管先の東北運輸局から運行停止を促される恐れがあるという。

 一度離れた観光客が今後戻ってくるとは限らず、工藤館長は「コロナ禍前のような回復は期待できない」と嘆く。竜飛崎周辺の観光の中心的役割を果たす記念館の目玉が失われてしまえば、「地域の活力がなくなってしまう。何としてもこの危機的状況を乗り越えたい」とも話す。

 記念館は2月1日にCFサイト「READYFOR(レディーフォー)」で検査と部品交換に充てる300万円の寄付の受け付けを開始する。工藤館長は「トンネル内を歩ける貴重な体験コースを継続させるためにも、竜飛崎周辺の観光を盛り上げるためにも、支援をお願いしたい」と呼びかけている。

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