湖眺め何もしない最高の贅沢 十和田湖畔休屋地区

休屋地区の元土産物店を改装し、6月にゲストハウス付きワーキングスペースを開設する小林徹平さん(右)・恵里さん夫妻

 湖眺め、ぼーっとするのもいいじゃない-。青森県十和田市の十和田湖畔休屋地区で、仙台市の小林徹平さん(31)・恵里さん(33)夫妻が、かつて土産物店や食堂として使われていた建物を所有者から借り受け、ゲストハウス付きのワーキングスペースにしようと、6月中のオープンを目指し改装を進めている。観光客からよく聞かれる「乙女の像を見て、十和田神社に行った後はどこに行けばいいの」との問いに、2人は「何もしないことが最高のぜいたくなのでは」と新しい湖畔ステイのかたちを提案する。

 宮城県石巻市の震災復興に関わったことが縁で知り合い結婚した2人。現在は仙台市に自宅を構え「風景屋ELTAS」の屋号で、個人事業主として都市・土木・建築計画を手掛ける。

 徹平さんは神奈川県出身。早大大学院修了後、2012年に仙台市に移住。都市計画系コンサルタントとして、復興計画策定に携わった。東京都出身の恵里さんは、復興事業への融資などを行う一般社団法人職員として、14年に石巻市に赴任した。

 2人と休屋の関わりは、青森県発注のまちなみに関する調査事業で、徹平さんが現地を訪れた17年秋に始まる。廃業したホテルや商店が醸し出す寂しさも確かに気にはなったというが、それ以上に心引かれたのは手付かずの自然だった。18年7月には恵里さんも休屋を訪れ、「自然をじっくり味わいたい」という夫の思いに共感した。

 仕事で休屋に通ううち「毎回どこかに間借りするのも気が引ける。どこか机を置く場所を借りられたら」と考えた徹平さん。18年8月、十和田湖郵便局隣の元土産物店を借り、月の半分を夫婦2人で休屋で過ごすようになった。

 地元の商店主やカヌーガイド、雑誌編集者らを交え、十和田湖の今とこれからを語り合う「とわだこミーツ」を開催。また、知り合った人たちと共に小物や飲み物などを販売するイベントを軒先で開催し、地域との交流を温めてきた。

 かつて修学旅行や団体旅行でにぎわった休屋の歴史を聞いてはいる。だが「これからの時代、型にはまった過ごし方をしたい人はいないのでは。私たちもそう」と話す恵里さん。「地元の人が教えてくれることに価値がある。私も山菜の採り方やあく抜きの仕方を教わった」。何げない湖畔の日常にこそ楽しさがあると笑顔で語る。

 改装する建物には、以前の屋号・山寿(やまじゅ)を受け継ぎ「yamaju」と名付けた。1階は土・日に営業するカフェ兼ワーキングスペースに、2階は4泊以上を想定したゲストハウスとする計画だ。

 徹平さんは「遠いところせっかく来たんだから、利用客には、晴れの日は外に出て、雨の日は中で仕事する、晴耕雨読のようなやわらかい生き方をしてほしい」。光通信環境も整っており「パソコン一つで仕事できるような人がリフレッシュしながら仕事できる場になれば」。

 2人は今後、休屋に拠点を置く予定。徹平さんは「(自分たちのことを)コンサルか-とよく言われるが、計画を出してすぐいなくなるのは無責任。一つでも、実際に実験的なことをやってみたい」と話す。

 改装に当たり「自分たちの取り組みを知ってほしい」(徹平さん)との思いから、クラウドファンディングによる資金調達にも挑戦中。みちのく銀行と「レディーフォー」との連携第1号事業として、20日まで、支援金150万円を募っている。特設サイトはhttps://readyfor.jp/projects/yamaju-laketowada

改装する元土産物店の建物=18年8月((c)風景屋)

改装後の「yamaju」1階のイメージ。右手奥はカフェ兼ワーキングスペース((c)風景屋)

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