「桜は人に見られてこそ意味がある」-。青森県弘前市が弘前公園の閉鎖を解除した18日、同市職員の「チーム桜守」が、無人の中で咲き、散っていった桜への思いを東奥日報取材に語った。新型コロナウイルスがもたらした異様な光景に戸惑いながらも、桜一本一本と向き合い続けた3人の樹木医は「来年は、今年以上の花を咲かせたい」と決意を込める。
3月下旬までは過去最速となる4月12日の開花が見込まれていた園内のソメイヨシノ。4月に気温が低い日が続き、開花は結局4月19日にずれ込んだ。満開はほぼ平年並みの同27~30日。開花から満開までの期間が長く、見ごろが続いたのが今年の特徴だ。
「寂しい。どうも落ち着かない。どんなに咲いても足りない感じ」。桜守の海老名雄次さん(39)は、満開にもかかわらず、花見客のいない園内に強い違和感があったという。
弘前公園の桜を長年にわたって見守ってきた小林勝さん(66)は「桜は、人が楽しんでこそのものだから」と語った。
公園の閉鎖期間中も、3人は園内を回って開花状況を調査した。バリケードを避けて遠回りするため、歩数が2万歩に達する日も。市は今年の開花状況や見ごろ予想の発表を見送ったが、小林さんは「その分、時間を気にせずじっくりと木の状態を確認できた」と話す。
ソメイヨシノは5月6日に葉桜となり、遅咲きも含めて園内の桜の見ごろは閉鎖解除までにほぼ終わった。
今は初夏の日差しに照らされた青々とした葉が、桜の生命力を感じさせる。桜守の3人は今後、来年の開花に向けて施肥や土壌改良といった作業に入る。
「子どものころ、弘前公園で撮った家族写真に写っている桜が、今も元気に咲いているんです。津軽に住む多くの人が、同じような思い出を持っているはず。何十年も咲き誇る弘前公園の桜は、幸せな記憶を思い起こさせる力があるんです」
橋場真紀子さん(47)は異例の春を越え、桜への思いを一層強くした。「これが日本一の桜だと、自分でも納得できる花を来年咲かせたい」
3月下旬までは過去最速となる4月12日の開花が見込まれていた園内のソメイヨシノ。4月に気温が低い日が続き、開花は結局4月19日にずれ込んだ。満開はほぼ平年並みの同27~30日。開花から満開までの期間が長く、見ごろが続いたのが今年の特徴だ。
「寂しい。どうも落ち着かない。どんなに咲いても足りない感じ」。桜守の海老名雄次さん(39)は、満開にもかかわらず、花見客のいない園内に強い違和感があったという。
弘前公園の桜を長年にわたって見守ってきた小林勝さん(66)は「桜は、人が楽しんでこそのものだから」と語った。
公園の閉鎖期間中も、3人は園内を回って開花状況を調査した。バリケードを避けて遠回りするため、歩数が2万歩に達する日も。市は今年の開花状況や見ごろ予想の発表を見送ったが、小林さんは「その分、時間を気にせずじっくりと木の状態を確認できた」と話す。
ソメイヨシノは5月6日に葉桜となり、遅咲きも含めて園内の桜の見ごろは閉鎖解除までにほぼ終わった。
今は初夏の日差しに照らされた青々とした葉が、桜の生命力を感じさせる。桜守の3人は今後、来年の開花に向けて施肥や土壌改良といった作業に入る。
「子どものころ、弘前公園で撮った家族写真に写っている桜が、今も元気に咲いているんです。津軽に住む多くの人が、同じような思い出を持っているはず。何十年も咲き誇る弘前公園の桜は、幸せな記憶を思い起こさせる力があるんです」
橋場真紀子さん(47)は異例の春を越え、桜への思いを一層強くした。「これが日本一の桜だと、自分でも納得できる花を来年咲かせたい」