北前船で栄えた港町、絵図基に「鯵ケ沢屏風」

江戸時代に描かれた町絵図を基に制作された「鯵ケ沢屏風」に見入る平田町長

 青森県鯵ケ沢町が町制施行130周年記念事業として制作した「鯵ケ沢屏風(びょうぶ)」が完成した。かつて北前船寄港地として栄えた港町の姿を描いた町絵図を基にしている。30日、平田衛町長ら町関係者がお披露目した。9日から日本海拠点館で一般公開する。

 鯵ケ沢屏風は、日本遺産「北前船寄港地」の構成文化財の一つである「鯵ケ沢町絵図」(町教委蔵)の原本の高解像度デジタル画像を拡大し、和紙にプリントして制作した。屏風は高さ1.8メートル、幅3.34メートル。絵図は縦91センチ、横3.06メートル。事業費は約65万円。

 絵図は江戸時代の文化年間(1804~1818年)以前に津軽藩によって作られたとみられ、藩の中心港だった鯵ケ沢の様子が精密に描かれている。藩主の御仮屋(町奉行所)や湊(みなと)番所、米蔵、舟蔵のほか、北前船の船着き場、寺社、当時の家主416人分の名が書き込まれている。

 絵図の原本は同町の「光信の館」などで展示しているが、町制130周年を機に、町の歩みを新時代に語り継ぐシンボルとするため、ビジュアル性のある屏風仕立てに複製した。

 平田町長は「絵図は江戸時代に鯵ケ沢の港町がしっかりと成り立っていたことがうかがえる貴重な史料。屏風を活用して町の歴史をPRしていきたい」と話した。

 7日に同町のホテルグランメール山海荘で開く「町制施行130周年を祝う会」の会場に展示するほか、9日から12月27日までは日本海拠点館で一般公開する(見学無料、月・火曜日は休館)。12日午後1時から解説会も行う。

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