「常田健美術館」スタッフ拡充、開館日増へ

常田健記念財団の理事長となった高橋さん(左)と館長の岡田文さん。作品は常田さんの代表作の一つ「稲刈り」(1950年)

 生まれ故郷の浪岡に腰を据え、津軽の大地に生きる農民の姿をひたむきに描き続けた常田健(1910~2000年)。その油彩画300点以上を収蔵する「常田健 土蔵のアトリエ美術館」=青森市浪岡北中野下嶋田=の運営主体が遺族から、企画・展示のプロであるギャラリー経営者らの応援を得た財団方式に変わる。私設美術館としては活動に限界があるためで、来年4月からスタッフを拡充、開館日を大幅に増やし再スタートを切る。

 同館は05年5月にオープン。地元有志らが集めた募金を基に、常田の次女の岡田文(ふみ)さん(71)と、息子で消防士の孝文さんら遺族が私財を投じ、自宅敷地内にあるリンゴ畑の一画に建設した。

 遺族の仕事などの関係から、開館は週末を中心に毎月4日間程度で1~3月の冬期間は閉館していた。しかし、生涯売る絵を描くことがなかった常田の作品をまとめて鑑賞できる施設とあって県内外から多くの美術ファンが訪れ、浪岡の名所の一つにもなっていた。

 「でも、肉体的に限界」と文さん。以前から親交のあった東京銀座のギャラリー悠玄の代表・高橋美智子さんらの協力を得て、新たにスタートを切ることになった。同ギャラリーは1999年に常田の個展を開催し、常田人気を全国区にしたことで知られる。

 新たな運営主体となる常田健記念財団は今年5月、高橋さんを理事長に発足。文さんはこれまで通り館長を務める。

 美術館は12月まで既定のスケジュールで開館。冬期閉館後の来年4月1日に再オープンする予定だ。懸案だった開館日は水-日曜日の週5日間とする。既に劣化の激しい作品を中心に修復作業に入っている。

 高橋さんは「個人美術館が14年間も続いたこと自体珍しいし驚き。これまでの文さんやボランティアの頑張りは評価されていいと思う。財団方式に変わっても施設や作品の所有権はあくまでも遺族にあり、財団が運営面で責任を持つという形になる」と説明。文さんは「開館当初から無理しないようにと開館日を少なくしてきたが、それでももう対応するのは難しい。来春からは財団の力を借りて運営していきたい」と話す。

 常田について「農民をテーマにした画家だが、それ以上に『生きる』という根源的エネルギーに満ちた広がりのあるアーティスト」と高く評価する高橋さん。「今後、テーマごとに作品を整理した上で企画展を随時開き、将来的には海外での展示も視野に入れていきたい」と意欲を語る。

 同館は美術館本体と隣接する土蔵のアトリエ、リンゴ園の3要素が大きな魅力。ところが、リンゴ園の維持が大変で、財団としては作業に当たってくれる人材を募集している。問い合わせはギャラリー悠玄(電話03-3572-2526)の高橋さんまで。

常田健の略歴
 つねだ・けん 1910年南郡五郷村(現在の青森市浪岡地区)生まれ。50年に青森美術会創立に参加。51年から東奥日報の連載小説の挿絵を担当。84年に初の画集刊行。第12回県文芸協会賞(91年)、第39回県文化賞(97年)など受賞。99年に東京のギャラリー悠玄で「常田健~津軽に生きる88年~」を開催するとともに各テレビ局の特集番組などを通して全国的に知られる。2000年に死去。


リンゴ園の一画に立つ「常田健 土蔵のアトリエ美術館」

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