モノコック型バス むつの愛好家団体が走行企画

みちのく古バス会が復活を目指す「モノコックバス」。むつ市内で整備作業中=30日

 青森県むつ市のバス愛好家団体「みちのく古(ふる)バス会」が、昭和期に製造された「モノコックバス」の復活を目指している。旧下北交通大畑線の保存団体や、まちおこし団体とも連携。公道の走行を視野に、鉄道運転会の日に企画を予定している。古バス会の小山内廉代表(35)は「生きた産業遺産として保存し、まちおこしに活用したい」と構想を描いている。

 バスの車体は、1981年式のいすゞ製。定員は約60人。骨組みをベースに外板を溶接して造る現在主流の「スケルトン」構造と異なり、モノコック構造は外板をリベット(金属製のびょう)で固定する。丸みを帯びた外見になるのが特徴という。

 もともとは、東北地方にある県外のバス会社が所有、運行していた。2000年ごろに廃車となった後は、県外の愛好家が倉庫として使っていた。

 小山内さんは、旧大畑線の車両を運転させながら保存する「大畑線キハ85動態保存会」の会員でもある。

 7~8年ほど前、岩手県のレトロバスファンたちがツアーで大畑線の運転会に参加した際、「古い鉄道と古いバスは趣が合いそう」との声を聞いた。小山内さんは「いつか、二つのコラボレーションを実現したいと思っていた」と話す。

 保存会のメンバーを通じて、モノコックバスの愛好家が車体の引き取り先を探しているという情報が小山内さんの耳に入った。「これを逃したらチャンスはない」と、小山内さんは引き受けを申し出た。その愛好家は、「地域おこしのためならぜひ」と、実費程度の費用で了承。16年に、古バス会設立とともに車両を手に入れた。

 車体や機関部の状態は良好。小山内さんは「40年ほど前のバスなのに、きちんとエンジンが掛かり、走れる状態だった」と驚いた。

 目標としている公道走行に向けては、手続き面でハードルがあった。それでも必要書類を探して用意したメーカーやバス会社、許可に関して助言した青森運輸支局などの協力で、書類面ではナンバー取得のめどが立っている。

 いすゞ自動車東北青森支社むつ営業所の山下聡所長(45)は「地域おこしのためと聞き、何とかお手伝いしたいと、メーカーに昔の資料を探して書類を準備してもらった。古くても『いすゞの車が走ってるな』と見てもらえたら」と期待する。

 車体の塗装を小山内さんの知人がボランティアで買って出るなど、地元からも応援を得た。現在、車体はむつ市内の工場で整備作業中。運行ができるようになれば、まずは客を乗せずに走らせてお披露目する予定。その後は、乗客とともに地域を巡る企画も検討している。

 小山内さんは「古いバスは、エンジン音やにおいなど五感で当時の空気を感じることができる。昭和の雰囲気が漂う大畑で、大畑線の列車とモノコックバスが、それぞれの魅力を高め合ってくれるのではないか」と語った。

旧下北交通大畑線の鉄道車両。5~10月の間、月1回運転会を開いている=21日

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