湯船に太宰の好物サクランボぷかり/桜桃忌に合わせ大鰐の旅館

太宰をしのび、温泉の湯船に浮かべられたサクランボ=18日午後、大鰐町のヤマニ仙遊館

 19日は作家太宰治をしのぶ「桜桃忌」。学生時代に滞在したという青森県大鰐町の老舗温泉旅館「ヤマニ仙遊館」は18日、「太宰治生誕前夜祭」を開催。温泉の湯船に太宰の好物とされるサクランボを浮かべる催しや作品朗読を行い、郷土の文豪をしのんだ。

 同旅館は1872(明治5)年創業。現在の建物や土蔵は97(明治30)年築で国登録有形文化財に指定されている。太宰の生家津島家の人々も湯治に訪れ、本人は旧制弘前高校(現弘前大学)在学中の1929(昭和4)年、弘前市内の下宿先で最初の自殺未遂を起こした後に、母・たねと数日間静養したとされる。

 湯船のサクランボは約250個が用意され、湯に浮くようザルへ入れて男女それぞれの浴場に持ち込んだ。普段宿泊客のみの浴場は、この日に限り前夜祭参加者も入浴可能に。入湯客は最後の作品のタイトルにもなった赤い実が揺れる様子を眺め、作品の数々に思いをはせた。

 弘前市の工藤真也さん(62)は「太宰文学やレトロな温泉などとの取り合わせが雰囲気いっぱいで楽しめた」と話した。

 同館広間では、弘前市の市民声優劇団「津軽カタリスト」(平田成直代表)によるドラマリーディングが行われ、津軽通信シリーズから短編4作を朗読。町内外の約30人が、登場人物の言葉を津軽弁に“翻訳”した太宰文学の世界を楽しんだ。

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